国土交通省は、年末の公表に向け策定を進めている「道路整備中期計画」に、事業費を盛り込まない方針を固めた。道路特定財源の一般財源化に伴い、「示す必要がなくなった」というのが理由だ。ただ、金額を示さないことで、巨大道路事業への批判をかわす狙いもありそうだ。
政府は昨年末、08年度から10年間で最大59兆円の道路整備を行う中期計画を公表。しかし、年明けの通常国会で、道路特定財源の無駄遣いが次々判明。計画策定の根拠となっていた「交通需要推計」もデータが古く、需要が過大だと批判を受けた。このため当時の福田首相は計画を5年間に短縮したうえで年末までに作り直すよう指示していた。
金子国交相は12日の衆院国土交通委員会で「今度は数字は入らない」と発言。自民党側も、14日の党道路調査会で山本有二会長が「今回の計画は事業費より、基幹道路(を造るの)か、生活道を造るのか、何をするかの方が重要だ」とし、事業費にはこだわらない方針を表明した。
これまで中期計画に事業費を盛り込んできたのは、5年ごとに期限が切れる道路特定財源の暫定税率を維持する目的が強かった。「事業費がこれだけかかるので暫定税率の維持が必要」とアピールする狙いだ。だが、09年度から道路特定財源を一般財源化する方針が閣議で決まり、道路整備と財源の関連は希薄になった。暫定税率維持の理由を将来の道路事業費に求める必要性がなくなったと判断した。
国交省は、河川や港湾などの他の公共事業についても5年ごとの事業計画を作っているが、いずれも事業費は示していない。特定財源が無くなることで、道路も他の公共事業と同じ扱いになる。
今後の道路事業費は年度ごとの予算編成で決定される。ただ、中期的な総事業費が示されないことで事業費の巨額さや無駄を検証しにくくなる。また道路特定財源が中長期的にどれぐらい余り、医療や福祉に回せるかも見通しにくくなる。(座小田英史)