国土交通省は、年内に策定する新たな道路整備中期計画で、目標とする総事業費を示さない方針を決めた。道路特定財源が一般財源化されるため、他分野の公共事業と同じ扱いにするのが適当と判断した。ただ、「金額を示さないと道路予算圧縮の具体像が見えない」といった批判も予想される。【位川一郎】
政府・与党は昨年、10年間で59兆円を道路事業に充てるとした中期計画案を決めた。だが、将来の需要予測が過大だなどとする指摘を受け、道路財源の一般財源化を決めた今年5月の閣議決定で、中期計画は最新の需要推計を基に期間を5年に短縮し策定するとされた。国交省は今月中に需要推計をまとめ、新たな中期計画を年内に決める予定だ。
道路、港湾、空港など公共事業の分野ごとの中期計画は、03年に社会資本整備重点計画に一本化されたが、その際に道路以外は総事業費を示すのをやめた。目標金額があると支出が固定化し、無駄につながるとの批判が出たからだ。
道路だけはガソリン税などの高い暫定税率を維持する根拠として総事業費を示し続けていたが、国交省は一般財源化によって特別扱いは必要なくなると判断。
金子一義国交相が12日の衆院国土交通委員会で「(目標金額の)数字は入らない」と表明した。新たな中期計画は、渋滞解消、交通事故削減などの成果目標を列挙する形になる見込みだ。
ただ、福田康夫前首相は、一般財源化を決める際、道路特定財源を生活者財源に転換するとしていた。一般財源化で道路予算が大きく減るとの見方も広がっていただけに、金額がないことがかえって道路予算の温存につながるとの批判も出そうだ。
毎日新聞 2008年11月14日 東京朝刊