祝 辞 |
 |
|
厚生大臣 小 泉 純 一 郎 |
社団法人設立おめでとうございます。
社団法人日本年金数理人会は、年金数理人という高等数学を学んだ秀才ばかりの団体と聞いています。数
学の面においては、本当に、政治家の及ぶところではないと思います。しかし、皆さんは連立方程式を解く
のが得意でしょうが、最近の政治の方は連立方程式のようにはいきません。数学以上に難しく、正しい答が
ない場合もあります。
しかしながら、皆さんの知識や能力に対して、われわれは全幅の信頼をおいております。これからの年金
改革に対しては、大勢の国民の関心が寄せられておりますが、皆さんのお仕事は、国民の信頼を背景にして
行われるものであります。そのため、日本年金数理人会の役割はますます大きくなります。
私自身も、国会で議論をしておりますと、年金に関する話題については、本当に関心が高い。また、私の
ところにくる国民各層からの質問も年金の問題が多い。それだけ高齢化社会における老後の生活保障といい
ますか、年金に対して多くの国民が頼りにしているわけです。そのため、国民の信頼に応えるような年金改
革をしなければならないと考えております。その際には、皆さん年金数理人の数理の能力に期待することに
なります。どうかこの社団法人設立を契機として、この日本年金数理人会が多くの人の期待に応えていかれ
ますように希望しております。
今後の皆様のご健勝とご努力を祈念いたしまして、お祝いの言葉に代えさせていただきます。
平成10年5月22日社団法人日本年金数理人会設立記念懇親会における小泉大臣のご挨拶より
祝 辞 |
 |
|
厚生事務次官 山 口 剛 彦 |
社団法人日本年金数理人会の設立を心からお祝い申し上げます。
急速な少子高齢化が進行するわが国においては、未来に向かって明るい希望を持てる社会を築くために、
現在、行財政はもとより、社会保障制度についても、その構造改革を進めることが求められております。
社会保障制度につきましては、質の向上を図るなど国民の期待に応えつつ、公平・公正で効率的制度とす
るよう、その再構築を進めていく必要があり、現在、厚生省においては、医療・年金・福祉全般にわたる制
度の見直しに取り組んでおります。
その中でも、年金制度につきましては、制度を取り巻く状況が厳しくなる中で、平成11年の次期年金制
度改正においては、給付と負担の均衡を確保し、現役世代の負担を過重なものとしないよう、将来にわたり
安心した年金制度の構築を目指して、引き続き国民的な合意を得ながら、改革に取り組んでまいります。
さて、昭和63年の厚生年金保険法の改正により施行された年金数理人制度が、今日に至るまで、年金数
理人の皆様のご努力により順調に運営され、年金制度の発展に大きく寄与してきたことは、誠に喜ばしく意
義深いことと思います。 年金の改革が検討されているこの時期に、年金数理人を正会員として発足し、約
10年にわたり活動実績を積んでこられた日本年金数理人会が社団法人となりましたことは、まことに時宜
にかなったこととお喜び申し上げます。
貴会におかれましては、このような状況を十分に認識され、社会的に確固とした基盤のある団体としての
体制作りを、更に推進されますことを期待致しております。貴会の一層のご発展並びに年金数理人の皆様方
各位の一層のご活躍を祈念いたしまして、私の祝辞といたします。
祝 辞 |  |
|
厚生年金基金連合会理事長 吉 原 健 二 |
日本年金数理人会の社団法人化おめでとうございます。
年金数理人制度の創設につきましては、厚生省におりましたときにいささか関係させていただきました。
当時から、法人化は必要だと考えておりましたが、いろいろな事情で実現できなかったわけですが、それだ
けに今日を迎えられましたことを、私白身といたしましても感慨深いものがあります。本当におめでとうご
ざいます。
貴会におかれましては、平成元年に任意法人として設立されて以来今日まで、さまざまな活動を行い、企
業年金制度の発展に寄与されてきました。会員数も383名と大きく成長されました。昨今の基金を巡る状
況に対応するため、財政運営の弾力化、自由化を含む厚生年金基金制度の改正が咋年行われましたが、その
中では、指定年金数理人制度が導入されるなど、基金財政の健全な運営のために年金数理人の果たす役割は
ますます大きくなっております。それとともに年金数理人の団体である日本年金数理人会には、一層の期待
がかけられています。
現在は、社団法人を設立することは非常に難しい時代です。それにもかかわらず法人化出来ましたのは、
近藤師昭会長をはじめとする日本年金数理人会の会員の方々のこれまでの着実かつ地道なご努力が認められ
たものと考えます。また、年金数理人がその目的を達成するため、社会的な信頼を得、地位を向上するには
法人化が不可欠であるという厚生省のご判断があったものと感じております。年金数理人の皆様は、この厚
生省のご英断に応える義務があると考えます。そのためには、年金数理人の方々が自ら研鎖を積まれ、努力
されることが最も重要だと思います。社団法人日本年金数理人会としても、このような会員各位のために活
動されることがより必要となってきます。
年金数理人制度の重要性につきましては、1800を超える基金も、本当に大きな期待をしております。
私どもの切なる期待にどうか応えていただきたいとお願いしたいと思います。今後の社団法人日本年金数理
人会のご発展をお祈り申し上げます。
祝 辞 |  |
|
国民年金基金連合会理事長 水 田 努 |
日本数理人会がこのたび社団法人として認可されましたことに心からお慶び申し上げます。
私が年金局長当時、厚生年金基金の将来にわたる財政の安定を図るためには、中立的な年金数理の確保が
不可欠と考え、年金数理人の法制化に取り組み、昭和63年改正で、決算時および財政再計算時における年
金数理人による年金数理の確認を制度的に導入できたことは、時宜に叶ったものではなかったかと思ってい
ます。
その後、関係者のご尽力で、日本年金数理人会を設立され、年金数理人の資質の向上に取り組まれ、会員
数も年々増加し、このたび設立当初からの懸案であった法人化が実現されたこ
とは、近藤会長を始め会員各位のご努力の賜物で、大変ご同慶に堪えません。
今回の法人化は改めて年金基金制度における年金数理人の重要性が認められた結果であります。
今日の経済情勢の下で、年金基金は厳しい財政運営が求められています。そうしたなか、年金数理人は最
も近くで各基金の財政と向き合われておられる方々です。つまり基金の現在のみならず将来の財政状況を的
確に知る立場にあります。今、年金数理人に求められていることは、その状況を基金の関係者はもちろん監
督官庁にも正確に報告するということではないかと考えています。このことが、制度制定の目的であった年
金数理の中立が確保され、更なる年金基金の健全な発展に結びつくのではないでしょうか。
私は退官後、国民年金基金連合会理事長として、国民年金基金の運営に直接携わっておりますが、国民年
金基金では、72全基金の年金数理は連合会で一一元的に行っています。2年前から、決算の際、将来の基
金の財政運営について懸念される事項についてできるだけ早めに年金数理人の所見として基金に通知すると
ともに、併せて厚生省にも報告することとしています。そうすることによって基金、厚生省、年金数理を受
託している連合会の三者が基金の健全な運営に一緒に取り組む土壌を作るものと考えています。
今回の法人化を機会に、年金数理人各位がますます研鑚を積まれ、わが国の年金基金制度の要となられる
ようお祈りして、お祝いの言葉といたします。
 |
祝 辞
お祝いの言葉に添えて満腔の期待を |
日本年金学会代表幹事 庭 田 範 秋 | |
平成元年以来9年間、有益で時宜に適した活動を続けて社会に大きく貢献された日本年金数理人会が、こ
の度厚生大臣より社団法人として設立認可を受けられましたこと、まずは心よりお喜び申し上げます。 法
人化を契機にますますご活躍を展開されますことと信じ、社会はこぞって熱く深い期待を掛けていることで
しょう。
さてこれは私の経験ですが、まだ大学入試に第一次試験(筆記試験)と第二次試験(面接試験)のあった頃、
その第二次の学生との面談の際に「君はどうして当校のこの学部を受ける気になったの」と質問しますと、
ほとんどの受験生から返ってくる答えが「実は試験科目に数学が無いからです」でした。ことほど左様に日
本人は、若きも老いも数学が苦手のようです。それでいて現代社会ほど“数学・数理"そして
“統計・計数”を必要とする時代もありますまい。それは社会が広域化し、大規模化するにつれて、学問も
また従来の抽象的・概念的なものから、実際の把握とそれをふまえての実践のそれへと大きく転換・飛躍し
たからでしょう。近代的なプラグマティズムが学理の主流となりました。どうしても現代人は数理を身に付
け、数学の知識をもって世に処し、社会の合理的な改善・向上に努めるべきです。この学的事実はそれこそ
万人公認です。
まして年金・年金制度においてはこのことは決定的です。人々は年金に当面するに際し、年金数理を把握
することなしには正しい理解も活用も、適切なる仕組みも運営もできないのではないでしょうか。それでい
て庶民大衆は例のごとく「数学は難しくて、数理は高尚すぎて」などと云いながら敬遠しがちです。そこに
は若干の“食わず嫌い”の要素があります。そこで私達のお願いですが、厳正・中立そして科学的・数理的
な姿勢をもって、衆に代わり、衆の理解をし易くし、衆を導くところの高次元的専門機関の活躍の待たれる
わけで、この見地から今回の年金数理人会の社団法人設立認可を心から歓迎し、今後ともより一層の活躍を
ご期待するところです。
もとより数理で成り立っているという年金制度の正しいあり方の学術的追及をまず第一にお願いし、問題
山積の年金制度の正しい今後の道へのご指導をお待ちいたしますが、実はなかなかに難しく理解に難渋する
年金学理と制度を、若い初心者にも解らして下さるような啓蒙的仕事もぜひお願いしたいのです。 これは
“望蜀の思い"(過分な要求)でしょうか。
 |
祝 辞 |
日本アクチュアリー会 西 部 正 勝 | |
このたびの、社団法人日本年金数理人会設立にあたりまして、日本アクチェアリー会を代表して心よりご
祝辞を申し上げます。
わが国の企業年金制度の中核を担う厚生年金基金は、現在、基金数で約 1,900、加入員数で約 1200万人、
資産規模は45兆円を超え、順調に発展を遂げてきています。しかしながら、わが国はこれから世界に例を
見ないスピードで高齢化が進むこと、またわが国経済が低迷を続けていることから、ここ数年、基金制度を
巡ってさまざまな議論が行なわれてきました。この結果、基金財政運営ルールが大幅に見直され、基金の自
主的な財政運営の拡大、指定年金数理人制度の導入等、年金数理人の職務範囲が拡大されることとなりまし
た。このような時期に、社団法人日本年金数理人会を設立し、その活動基盤を確固たるものにされようとし
ていることは、大変有意義なことと思います。会長をはじめ、役員・会員の皆様のご努力に深く敬意を表す
る次第でございます。
ご承知のとおり、日本年金数理人会と日本アクチェアリー会は非常に密接な関係にあります。貴会の正会
員である年金数理人は、当会の正会員の中から年金数理について所定の実務経験を有する者が認定されます。
すなわち、当会は貴会会員の年金数理に関する基礎学力の面を担当していることとなっており、責任の重大
さを痛感する次第です。今後とも面会が協力して、年金分野についての会員の教育、調査、研究活動を進め
て行きたいと思っております。
当会では、昨今の環境変化を踏まえ、試験制度、教育制度の改正を予定しております。試験制度につきま
しては、新たなリスク管理技術の習得要請、金融制度改革の本格的進行、国際的な整合性の確保といった環
境変化に対応するために、IAAコア・シラバスの検討状況を参考にしつつ、2000年から新しい制度を
スタートさせる予定です。また、教育制度につきましては、会員の資質向上に向けて継続教育制度の一層の
充実を図っていきたいと考えております。
金融の自由化、国際化の流れの中で、アクチェアリーの役割の重要性はますます高まっていくことが予想
されます。われわれに対する世の中の負託に応えるために、今後とも相携えて努力、研鑚を積み重ねていき
たいと思います。最後に、貴会の今後益々のご発展をお祈り申し上げます。
|