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ここから本文エリア 地域医療 街ぐるみ 南砺市2008年11月22日 住民も対象にセミナー 医師不足に悩む南砺市が、医師以外の医療職の能力向上や、住民の医療知識を深める取り組みを始めた。名付けて「地域医療再生マイスター養成」プロジェクト。医師をすぐに増やすことが難しい状況で、勤務医の負担を軽くし、今ある医療提供体制を守ることが狙いだ。(増田愛子) 同市井波総合文化センターで9月下旬の週末、「第4回市在宅医療推進セミナー」が開かれた。参加者は病院職員ら医療関係者のほか、一般市民ら約80人。 「体温38度以上。顔色が悪い時、ぐったりしている時は病院に連れて来て下さい」。富山大学医学部の小児科医が、子どもに多い、発熱・嘔吐(おう・と)・下痢などの症状ごとに、病院に行く目安や、対症方法を説明した。 5歳の娘と参加した30代の女性は「具合が悪そうだと焦ってしまう。救急センターに駆け込んだこともあるけれど、様子を見れば良かったと思いました」と話した。 症状の緊急度を判断し、初期症状に対応できる看護師ら医療スタッフがいれば、医師の仕事は軽減する。医学の基礎知識を持つ住民が増えれば、「コンビニ受診」などの抑止にもなるはず――。プロジェクトが目指すのは、医療の提供側と受け手の連携だ。 同市がプロジェクトを始めた背景には、深刻な医師不足がある。三つあった市立病院のうち、2月に旧市立福野病院を外来のみの診療所に転換。診療所の小児科診療は現在、2週間に1回だ。公立南砺中央病院は10月から、夜間の救急車受け入れを一部制限している。 同市医療局の倉知圓管理者は「もう少し今ある『医療』を大事にしないと、崩壊しかかってしまう」。そこで、富山大付属病院総合診療部の山城清二教授と協力し、昨年12月、医療スタッフ向けのセミナーを開くことから始めた。 人材を「守る」だけでなく、「増やす」取り組みも進行中だ。山城教授は5月下旬から週1回、同病院の後期研修医らと、市内で在宅介護を受ける高齢者を往診している。同市を一般的な病気を判断・治療し、必要なときは専門医に紹介できる「総合医」を育てる場にするのが狙い。 同市医療局も「地域医療を目指す人に研修先に選んでもらえるようになれば……」と期待している。
マイタウン富山
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