シジミジル物語(2)シジミジル、バラバラになる。

2008年6月、第1次松江ロケ。めぐみ(三倉茉奈さん)はすでにクランクインしていたが、康太(久保山知洋さん)と俊(東島悠起さん)のクランクイン初日、2人はめぐみからシジミジルのメンバーとしての証を手渡される。
『シ』『ジミ』『ジル』の言葉と、それぞれの似顔絵のイラストを刺繍したストラップだ。
「『これ、作ってきたから』って渡された時は、すごくびっくりしたし、無茶苦茶うれしかった」と康太と俊は口を揃えて言う。そのストラップは、番組内でも使われているめぐみと俊のギターケースに、康太がいつもタンバリンを入れているバックに、今も大切に付けられている。
「私のシジミジルに対する気持ちとして、どうしても2人に渡したかったし、シジミジルの絆みたいなものを作りたかった。」めぐみの想いは確実に康太と俊に届いた。

約2週間の第1次松江ロケで、シジミジルの絆はさらに深まった。

そして、2008年10月に行われた第2次松江ロケには、シジミジルは3人で大阪から松江に向かうことになった。マネージャーもいない3人での移動だ。
「ちょっとした遠足気分でしたね、シジミジルの故郷に3人で帰るぞ!って。」と、めぐみ。『◎時に、新大阪駅の◎◎に集合だが』と出雲弁のメールがめぐみの元に届く。集合時間と場所は康太と俊が相談して決めた。その頃にはメンバーの3人はよくメールで、しかも出雲弁で連絡を取り合い、会えない日にはお互いに近況報告をし合う仲になっていた。
集合時間は新幹線出発の30分前だった。集まったメンバーは、これからの小旅行に子どものように胸を弾ませていた。新幹線ではトランプをやろうと、わざわざ売店でトランプを購入。おやつも買った。ところが、そろそろ出発時刻になり、ホームへ上がった3人に衝撃の事実が待ち受けていた。
何号車だろうとキップを見ると、なんと全員が座席はもちろん号車もバラバラのキップを持っていたのだ。3人で松江に向かうことになっていたのにもかかわらず、何かの手違いで新幹線も、その後に乗り換える特急やくもの席もバラバラだった。
「えー、なんでー」と叫ぶめぐみ。「これは、おかしいやろ!」と右往左往する康太。冷静にもう一度キップを確かめる俊。
仕方なく、3人はそれぞれの指定席へ。そして、買ったばかりのトランプは封を切られることもなく、それぞれの1人旅がはじまった。
岡山駅で、特急やくもに乗り換える。メンバーは、走った。自由席に並ぶために、走った。岡山から松江までは約3時間の旅だ。ここでもバラバラに座るなんて、考えただけでゾッとする。
運よく自由席に座れたシジミジルのメンバー。席を向かい合わせにして、おやつを開け、トランプの封を切る。
ようやくシジミジルの故郷へ向かう、3人の旅がはじまった。