どっちに軍配が上がるか注目されていた「ご当地グルメ対決」は、備前市日生町地区特産のカキ入りお好み焼き「カキオコ」が制した。
倉敷市のJR倉敷駅前商店街恒例のくらしき朝市「三斎市」のイベントとして行われ、津山市特産の「ホルモンうどん」に投票でわずかに上回ったという。結果はほぼ互角だ。勝ち負けが重要ではなく、遊び心が大切だ。
「B級グルメ」と呼ばれる、土地ならではの庶民的な食べ物への人気が高まっている。郷土料理とは違って、路地裏で見つけた小さな店の料理を味わう感覚が人気の秘密だろう。
最近出版された「B級グルメが地方を救う」(田村秀著、集英社新書)によると、食をキーワードにした地域おこしがブームとなる兆しを見せているそうだ。食べ物は人を地域に呼び込む不可欠の材料である。
先例は静岡県富士宮市のやきそばだ。こしのある麺(めん)と独特のソースなどが評判となり、二〇〇一年から六年間で県内外から百七十万人を呼び込み、地域経済への波及効果は二百十七億円に上った。
岡山県にもソースでいためたえびめしやデミグラスソースをかけたカツ丼などがあり、地域活性化への期待が高まる。ただし、カキオコなどの人気の背景には、盛り上げを図ってきた住民の努力があった。忘れてはなるまい。