福岡県田川市は21日までに、市内の約2000ある小字(こあざ)名を撤廃する方針を決めた。一部に差別を助長する恐れや人権上の問題がある名称が含まれていることが理由。廃止には市議会の議決と県への届け出が必要で、市は12月の定例市議会に提案する。県内では、既に筑紫野市と豊前市が小字名を撤廃している。
同市によると、市は1982年の広報紙に鉱害復旧の補償金の支払い対象地域を小字名で記載。この際、人権団体などから「差別を助長する」などの問題提起があった。市は以降、住民票や戸籍謄本といった公文書に原則、小字名を用いていない。
市は今年7月、市役所内に検討委員会を設置。問題点などを協議し、全廃を決定した。小字名の廃止は県が対象地を告示するが、全廃の場合は個別の名称の公表は不要という。小字名に関して、福岡法務局田川支局(田川市)も2000年と04年に市に改善を申し入れており、告示を受けて不動産登記簿の記載などの削除手続きに入る。
市人権・同和対策課は「人権団体の指摘から26年かかった点は申し訳ないと思う。円滑に手続きを進めたい」としている。
=2008/11/21付 西日本新聞夕刊=