勝間和代のクロストーク

消費税上げ、法人減税を

2008年11月14日

 麻生太郎首相が10月、3年後に消費税を上げると言及し、大きな話題になりました。

 現在、日本の国民負担率(租税、社会保障負担の合計)は40・1%と、米国の34・5%より高いものの、英独の50%前後などと比べ低水準です。しかし、少子高齢化で、好むと好まざるとにかかわらず、今後、国民負担率は上昇していくでしょう。

 問題になるのが、直接税と間接税の割合(直間比率)です。直接税は主にもうけに、間接税は主に取引に、課税しますが、日米はおおむね7対3、英国は6対4、独仏は半々程度です。

 もうけに課税する場合の問題は国際比較での公平性です。日本の法人税の実効税率は約40%と、30%前後が中心のOECD主要諸国より高い水準です。法人税負担が重いと、税金の低い香港、シンガポールなどへ脱出を図る企業が出かねません。国際競争力低下も考えられます。

 また、法人税収に依存しすぎると、景気変動の影響を受けやすくなります。トヨタ自動車は6日、営業利益見込みを1兆円減らしました。その結果、単純計算で約4000億円もの税収減になってしまいます。

 給与所得者と事業所得者間の不公平も問題です。前者は収入を把握されて源泉徴収されるのに対し、事業所得者は自己申告です。直接税重視では、何でも経費で落としてしまって、「申告所得は低いのに裕福」という事業者が生まれやすくなります。余裕のある高齢者に社会基盤の維持経費を公平に負担してもらうのにも、支出に応じて税を負担する消費税が向いています。

 私の提案は、法人税率を国際平均の30%程度まで下げる一方、消費税率を10~15%まで引き上げることです。その代わり、法人の経費計上を厳しく監視し、税率分はきちんと納めてもらうべきです。低所得者の負担が重くなることを防ぐため、食料品や医療費など生活必需品の税率を低くすることも必要です。増収分は社会福祉や貧困対策に優先して配分します。

 私の提案について、みなさんの意見をお待ちしています。

※24日(月)まで投稿したご意見の中から勝間さんが「ベストアンサー」を選びます(27日発表の予定)。投稿そのものは、28日(金)午後5時まで受け付けます。

勝間さんは現在、自ら始めた「Chabo!(チャリティ・ブック・プログラム)」という国際貢献活動の一環でスーダンを訪問中です。前回の「年金改革」のベストアンサーは帰国後に発表します。

コメント(60)

★60 Commented by 山川 昌子 さん 2008年11月21日 18:01
 

 法人税減税は、不景気の影響を直撃する中小企業、銀行の貸し渋りなどにも絡み、大企業、メガバンクのように助けてもらえませんので賛成です。消費税は国民の納得が得られるかどうか、詳細を取り決めるべきです。

 消費税アップは勝間さんのおっしゃる通り、低所得者層ほど負担増は明らかで、これについては英国など食料品の消費税ゼロの国、又は低税率の国があるように、ガス、灯油などの家庭用燃料及び家庭電力、日用品など生活に必要なものは絶対上げるべきでないと思います。
 上げても良いと思うものは上記以外、またぜいたく品といわれる宝石、貴金属類、自家用車、大型家電、等は大幅アップでも良いと思います。
 自家用車に関しては、昨今のガソリン価格高騰で消費者の買い控えや若者の車離れも乗じて大打撃が予想されますが、数年前ディーゼル規制が行われ、多数のガソリン車への買い替えにより販売利益を得ているはずだ(と、私は思っています。)
 あと、化粧品税、エステ税、美容整形税(形成外科は除く)、美容院税を考えてはどうかと思います。これらに関しては、女性の批判はありましょうが、働く世代が消費することが大多数ですので導入されてはどうか、と思います。

 平成元年消費税が施行され・・・バブル崩壊後、平成9年消費税5%導入、そして今回再度、麻生総理が消費税アップに関して発言されました。国の収益が悪くなるたびに政府は国民へ負荷を強いているように見受けられます。
 根本的に、政府の予算の決め方に疑問を感じます。昨年はこれだけの税収があったから、この範囲内で予算を決めようと、なぜそうしないのでしょうか?収入の範囲内で買い物をするのは、一般家庭の鉄則で赤字では一家心中ものです。先に先に必要な経費を決めて、予算は使い切らねばならない=無駄遣い、・・・おかしいです。個人のカード破産とこの日本とはまったく同じ状況です。余っているからといい、村おこしだ、なんだと地方に1億円渡していた時期もありました。家庭では余った金は貯蓄にまわすのと同様、突発的な支出(大災害など)に備える準備金として積み立てるなど考えてほしいものです。
 消費税に頼っていても、少子化で人口が減りつつあるこの国ではいずれ消費税も減収でしょう。法人税収に依存しすぎると、景気変動の影響を受けやすくなります、とありますが国も景気が悪い時には税収が減るのは当たり前のことですからそういう時には予算も削減をすべきです。また今回のようなアメリカ経済の影響などの外部のあおりを受けた時などの為に先述の積立金を放出し、国内の景気対策をはかる、くらいの対応策を実施できるくらいの国力をつけていってほしいものだと思います。
 政府の帳簿の改善をせずに国民に消費税アップを求めてもますます国への不信感は強まるばかりだと思います。
 また、税収は国民の納得のゆく使い方をし、ならびにはっきりと明示してほしいものです。

★59 Commented by 下山晶樹 さん 2008年11月21日 17:49
 

 日本の消費税は1)インボイス方式となっていないこと、2)1000万円以下の売り上げの個人、団体に関しては消費税を支払わなくてもよい制度になっていること、3)輸出品目に関しては、例えばトヨタが車をアメリカに輸出する際はその車の部品にかかった消費税は全てトヨタに還付されるという非常に輸出産業に対して優遇となる制度になっていること、ということを勝間さんは御存知なのだろうか?
 1)によって消費税がすべての物品の売り買いに課せられているかどうかが不透明になっている。2)で消費税を消費者より取っているにもかかわらず国家に支払うことなく消費税分も自身の利益にしている個人、団体が多く存在している。3)は中間業者は消費税の負担が生じているにもかかわらず、最終受益者である大企業のみに消費税が還付されるという非常にいびつな構造が出来上がっている。
 これらの日本の消費税の欠点をまずは改善するだけで税収はかなり増加すると考えられる。
 また、今回の御意見を拝読したところ、諸外国と比較して日本の法人税は高いとの意見がありましたが、法人税は高いかもしれませんが、社会保障費をここまで大企業が負担していない先進国も日本以外ないのではないでしょうか?やはり、法人税を議論する際は、法人税とともに企業の社会保障費の負担額も一緒に論議しないことには諸外国との本当の比較は出来ないと思います。
 さらには、輸出品に対し、消費税の還付がどの程度行われているかについても明確にしないと消費税を上げたことに対して今まで以上の還付金が得られる一方で法人税も下がって,、消費者である国民一人一人は疲弊してしまい、得をするのは大企業(特に輸出産業のみ)という事態も容易に想像できると思われます。

★58 Commented by 清水 輝明 さん 2008年11月21日 15:06
 

 税、保険料の合計が「国民分担金」であると仮称して、個人が「国民分担金」を、どこまで納められるかのコンセンサスを、まず決める事が先決です。
 福祉先進国と言われる国々の、ここで言う「国民分担金」は、日本よりはるかに高負担と言われますが、高負担に対する行政や福祉の在り方が明快で、国民が高負担に対し矛盾を感じていないのがさすがだと思います。もちろん、長い期間の中には、矛盾点も出てくるでしょうし、調整も必要でしょうが、国民の政治に対する関心が強く、良く理解し、政府を信用もし、監視も出来ているのが良いところでしょう。
 日本の場合は、税(新設税)の立て方に、国会での論議はあるでしょうが、いつの間にか税率や使途を操作できるような、曖昧な形で国民の中に降りてくる。廃止する筈のガソリン税を、一般税(環境税にするつもりか)のように名前を変えて存続させるなどが好例。その上の消費税率アップの論議ですか?
 財源を探さねばならぬ日本の事情はよく理解していますが、税負担増を図るとき、税を使う側の目に余る乱脈を脇に於いて議論を求めるのは、私は、本末転倒だと思います。入りで所得税を払い、出で消費税(場合によっては2重課税)で、まさに税の往復パンチ。税はいたずらに複雑化はせず、より単純にして、国民共有な納税の喜びをも感じられるような税にしてもらいたい。従って、徴税テクニックの産物である、消費税には最初から反対です。

 と、私観を述べた上で、それしか知恵がないのならば、消費税率は10%までを限界とします。ただし、たとえば年間支払消費税額に応じ、次年度通用の、全店通用割引クーポン券を国が発行。消費税率上昇による購買行動の低下をいささかでも軽減するような、しゃれた施策を要望します。また、所得によって税率の変わる、個人別・所得階層別・消費税対応ICカード(買い物時に提示)等のアイデアも、考えられます。上に厚く、下により薄いが考え方の基本です。

 法人税は、5%限界でUPは、容認すべきでしょう。


★57 Commented by 中山 聡 さん 2008年11月21日 14:35
 

 勝間さんのお考えには反対です。

 現在の低所得者に対する税負担はすでに膨大なものです。国民全体の所得が低下している現在消費税増税はとてつもない経済への打撃を生むと考えます。
 今やるべきことは国民の負担増を極力少なくしつつ、法人減税を打ち出し平均所得の増大を図り消費の底上げを図ることです。
 法人減税分は特別会計等を廃止し、税金の使い道を1円単位まで明らかにして無駄遣いを無くし、減税可能な分を当てます。

 消費税を5%~15%にするということは、現在の家計支出が10%増加するということです。仮にすべてのものに10%の負担が増えたとして、我が家(住宅ローン有、子ども2人 犬1匹)を例にすると「手取り収入 500万円」「年間貯蓄 30~80万円」という現在の暮らしがありますが、「手取り収入 500万円」「年間貯蓄 -20~40万円」に変わります。
 子どもも大きくなるにつれて確実に支出は増加するでしょう。しかし収入が増えるということは確実ではありません。上記家計簿推移予測は、「我が家は確実に生活不可能になる」ということの表れではないでしょうか。我が家よりもさらに低所得者の生活はどうなるのでしょうか。

 上記のようなことが現実となれば、消費は落ち込み企業利益も確保できず日本経済は傾くでしょう。食材、生活必需品等は非課税とおっしゃいますが、「高級食材はどうなるか」や「生活必需品等線引き」ができません。また、外食産業は現在よりも窮地に立たされるでしょう。この不況の時代にこのような政策は認めるわけにはいきません。

★56 Commented by 与賀田 孔明 さん 2008年11月21日 14:22
 

 まっとうなご提案だとは思いますが、現実には無理でしょう。そのための議論の前段階で頓挫するはずです。

 長らく日本では全体では立派に見えても、少なからずまがいものが紛れ込んでいて、しかも誰一人その実態を把握できていないという財政が続けられてきました。

 社会福祉目的に限定する条件付きで消費税率を引き上げても、またぞろ関連の公益法人やらがこしらえられ、官僚が天下りし、多額の補助金がつぎ込まれて、ということになるのは目に見えています。あるいは社会福祉分野以外への監視の目が薄れ、今まで以上にやりたい放題になると。

 そういった背景を国民は知ってしまったので、有識者の「消費税率を引き上げて財政を立て直さないと、先々えらいことになる」といった正論も「政治家や官僚が国民生活を人質にして利権の口を拡充したがっているに違いない」と受け取られてしまいます。法人税の引き下げにしても、先ごろの好景気時にも企業の利益がどれほども労働者に還元されてこなかった現実があるので、やはり理解を得られにくいでしょう。

 それに財政の健全化という観点で言うなら、税制の改革よりも先に、現状の不良債権的な使途の全容を明らかにしてもらわないことには。もはや強権的な政権政党が衆参の絶対多数を占めることはなさそうな気もしますし、まずは特別会計の制度を廃止し、諸々の透明化を成し遂げ、オンブズマンに公益法人やらへの解体権限を与えるくらいのことをしてからでないと手をつけられないテーマなのだと思います。

★55 Commented by 寺尾 勇 さん 2008年11月21日 11:05
 

 日本の税制度は不均衡に過ぎる。米国のように株主や経営者が日本の場合に比較して数倍から数十倍の収入があるのは行き過ぎと考えるが、米英と比較してあまりにも無駄の支出が多すぎる。
 私の意見は「消費税も法人税も引き上げる必要がない。」ということです。
 国としての無駄使いを改めずに国民に負担ばかり求める現在の政府に対して幻滅しています。
(1)官僚の天下りの仕組みは少しも修正されていない。年間12兆円の天下り予算が少しも改善されていない。12兆円の国民の血税を有効に使えば消費税の引き上げなど必要ない。
(2)国会議員の数など今のように必要ではない。半数程度で十分である。こうした無駄の引き締めが全くできていない。
(3)血税監視委員会を作ってあらゆる無駄な支出にメスを入れる必要がある。国だけではなくて地方自治体も国と一緒になって地域の住民の血税を無駄使いしている。その規模の算出を行い、国民に還元する必要がある。
 官僚国家の仕組みを変えるだけで現在の経済上の問題点は60%は解決する。医療の問題、年金の問題、C型肝炎・石綿被害の問題、地域活性化の問題など官僚や政治家が本気で対応してきたとはとても思えない。
 官僚や政治家が国民の生き血をすすっている状況があぶり出されると考えられる。
改善を第一に行われるべきだ。
 こうした議論と実施をなくして消費税も法人税も決して上げさせてはならない。新たな財源確保に新たな利権構造をつくるだけになる。

★54 Commented by 高田 明美 さん 2008年11月21日 4:43
 

 勝間和代さんの声に出して主張する姿勢に子持ち女性としてこれまでも今も大変共感しております。その上で、個人自営業者として法人減税には反対いたします。ごくシンプルに理由を申し上げれば、大手従業員にもっと国に対して怒って欲しいからです。

 数で言えば中小企業経営者とその従業員より少ないにもかかわらず、会社を通してという形で発言力があるのに声に出さないのはこの層だと常々感じています。ギリギリの後始末を下にまわせば済むからです。
 職務として忠実であり、間違ってはいないでしょう。しかし個人事業が税制そのほかの社会福祉にかかわるとき、個人から直接容赦なく税務署、社会保険庁、諸々を相手にすることになるのに対して、サラリーマンは会社に守られています。会社の制度にはじまり、会社が聞く耳を持たなければ国の制度へと訴える力を持っています。

 将来的に消費税アップはやむなしと思いますが、その前に今一度、企業から国へ声に出して国の不備を主張して欲しいのです。先手を打って企業の声を逸らすのは止めていただきたい。

★53 Commented by 久保 肇 さん 2008年11月21日 0:09
 

 私は、勝間さんに、「だいたい賛成」です。

 「消費税上げ、法人減税を」は、勝間さんの論理立てでは、一定の結論になることは理解できます。我々すべての消費者が、本来労働者でもあることを再考すれば、法人税と消費税の抱き合わせの議論にもやはり理があります。

 ここで、個人の経験に普遍性がないことは承知した上で、フィンランドで3年間家族で暮らした経験をお話します。

 フィンランドでは、消費税はやはり、およそ20%と高かったと思います。自動車には、100%程度にもなる税がかかっていると聞きました。所得税も、20%を超えていました。しかし、食料品などの生活必需品は、ほとんど課税がないかと思われるほど安かったです。一方で、子供が風邪をひいた時です。保健所の医師に診てもらうのが、フィンランドのスタイルです。電話すると、3日後の時間が空いてるとの返事でした。

 いかがでしょうか?「消費税が高いけど、福祉が充実」と思っていたフィンランド像と少し違うと思いませんか?我々日本人では、容易には理解できない生活観と、税に対する考え方を持っていることがうかがえます。

 さて、現在のところ、勝間さんのご意見に反対の方が、半数を超えています。理論と社会福祉充実という仕掛けだけでは、多くの日本人の生活観に揺さぶりを入れることができないということでしょうか。もっとも、今回は、消費税増という難題に言及するうえで、反対多数は、想定済みだったかと思いますが。

 私も効果的な説得案は持っておりません。しかし、フィンランドの友人の言葉を、最後に。

 「フィンランドは、小さい国だから、みんなで助けあっていかないといけないんだ。そのために、税金が高いことはしょうがないんだ。」

★52 Commented by 大津博 さん 2008年11月20日 23:42
 

 私は、今回の提案には、賛成しかねます。

 なぜなら、現在の法人税率と消費税率うんぬんは、財政の根本的問題では無いと思うからです。

 財政の収入と支出をみて、先ず支出を見直し、それでも成り立って行かないのであれば、収入を見直す議論をするのが良いと思います。

 とは言いましても、私は国の財政を動かせる訳では無いので、身近なことでしか判断できません。
 身近なこと?それは家計です。家計の場合、先ず見直すのは、外食を減らす等の支出だと思います。それは、収入は見直してすぐに変わるものでは無いと思うからです。

 たしかに、家計と国家予算は大きさが全然違います。しかし、問題が発生した場合は、それを解決するには、大きなままでなく、考慮できるまでその問題を細分化し、一つ一つシンプルに解決していくのが定石と考えています。

★51 Commented by 井坂洋士 さん 2008年11月20日 23:38
 

 まず、社会基盤の違いを無視し直間比率だけを取り上げてどちらが良いという議論にどんな根拠があるのでしょう。欧米の例を参考にするのも良いですが、税金は社会全体、全国民の生活に直結するものですから、比較するなら給付面の違いも考慮したいところです。

 欧州では比較的公的部門の役割が大きく、生活者への扶助も充実しています。北欧など教育・医療が無料に近いところもある。企業は利益にかかる税が低いかわりに福利厚生支出や雇用の維持を負います。
 それに対し、日本は米国に近い低福祉社会になっています。国民年金だけでは生活が困窮し、教育費は高額、農業では生活ができず離農が進み、公共交通への補助率はとても低い(大都市圏では運賃は安いが混雑という負担をしている、地方は切り捨てが進む)など、日々の生活の中で高い負担をしています。最近は雇用も不安定化しました。

 加えて、商品・サービスの取引にかかる税金を引き上げ、資本の蓄積にかかる税金を引き下げる政策は、これまで以上に商取引(実体経済)を抑制し、資産膨張を助ける働きをします。米国の金融・不動産バブル崩壊直後でもあり、そうした政策は理解を得にくそうです。
 また、従業員に支払う給与等には法人税はかかりませんから、法人税増税は給与を支払う動機にもつながりますが、逆に法人税減税・消費税増税は給与を出す動機が減り家計支出が増える方向に働き、雇用悪化懸念に拍車をかけます。

 ご指摘のトヨタについても、2兆円ものばく大な利益を出していたときに税金をしっかり取っておかなかったことが失敗でした。日本の国家財政は「好景気」の最中に悪化していますが、これは担税力のあるところからしっかり取っておかなかったことを意味します。景気は循環します。政府部門は好景気のときに財政を改善させ、景気悪化局面では財政出動をすることで、この循環を緩やかにすることができます。そのためには「景気変動の影響を受けやす」い法人税は大変好都合な税制度です。


 もうひとつ、法人税制の累進強化を提案します。既に資本の蓄積が進み信用力の高い大企業には相応の負担を求めつつ、新興企業を育て新陳代謝を高め産業を活性化するべきです。
 日銀短観を見ても明らかなように、「いざなぎ超え」と言われた「景気回復」の局面でも中小企業の景況感はあまり良くならず、昔からの大企業がずっと影響力を維持してきました。
 しかし、産業構造が偏り硬直化すると社会のリスク負担が大きくなるのは、従業員の雇用を人質に政府にたかる「ビッグ3」の醜態を見ても明らかです。産業を多様化させ雇用の受け皿を拡げておく方が変化に強い経済社会になります。

 国民生活の相対的貧困(格差)問題を抑え、産業を活性化する(「円高」をものともしない競争力の高い産業を育てる)ためにも、富の再配分の仕組みを程よいところで維持することが重要です。直間比率は維持し、法人税の累進税化(財務基盤が弱い新興企業への税率は現状維持、大企業への税率は強化)と年金・雇用保険など社会保険制度の簡素化・税方式化(企業負担減)により、雇用促進と産業構造の多様化をすすめるべきと考えます。

★50 Commented by 梅田 恒 さん 2008年11月20日 20:27
 

 企業が法人税率の低下で浮いた資金を給与に回す可能性と、消費税率が上がることによる消費減退のそれを比べれば、後者の方が大きいと思われる。企業が過去の震災やこのたびの金融危機、さらには導入の動きが本格化してきた環境税(個人的には大反対)等、自らの努力で防げない非常事態に備えるには、どうしても内部留保を厚くしないといけないからである。

 国の財政が破綻寸前というなら、消費税導入以前の物品税の復活や高所得者への課税強化、それにタバコの大幅な値上げ(一箱500円前後に)を進めたい。その税収は前々回で議論された教師の増員や、農業の新規参入促進策等に充てて雇用を拡大し、消費不振や犯罪増加の一因ともなっている所得格差の拡大に歯止めをかけるべきであろう。

 主婦が家計を握り、かつ現金決済の比重が高い日本において、消費税は納税者の重い心理的な負担を伴う。また、イスラム圏やカトリック諸国や小乗仏教が盛んなタイ等と違って「喜捨」の文化がない以上、所得の再分配は累進課税の強化に頼らざるをえない。これまでの勝間さんのトークでは、「外国ではこうだから日本でも・・・」という言い回しが目につく。マイカーの購入自粛に、年金の払い方や税率の変更といったミクロ的視点に固執せず、日本の風土や文化に根ざした骨太な問題提起(公共交通の整備や雇用拡大策等)を望みたい。


★49 Commented by 深町 高志 さん 2008年11月20日 19:43
 


 残念ながら賛成しかねます。小泉時代より内需拡大を訴えて景気回復をうたってきました、政治家は…景気がよくなれば税収が上がる、税収が上がれば増税はしなくて良い、と、言ってきましたが…確かに景気は良くなりました(外需によって)。税収も上がりました、ただ、企業は配当を増やしただけで一部従業員の賃金しか上がらず、期間工員や派遣社員の横行、彼らの不安定な収入を考えた上では消費税引き上げなどは正に死活問題ではないでしょうか?

 残念ながら企業は金儲けの機械です。機械が生み出すお金を取らないとなると、その利益は株主配当、一部幹部の給与に当てられるとは思い込みでしょうか?
(事実アメリカの金融会社の幹部たちの巨額報酬が問題になっています、それに隠れているかもしれませんが、その巨額の報酬を容認していたのは株主ではないでしょうか?)

 そろそろ労働者から搾取するのは限界なのでは?

★48 Commented by 山中 雅和 さん 2008年11月20日 17:05
 

 消費税は、今や内税ゆえ公取がちゃんと仕事をして物価が下がるなら、一般消費者にとっては消費税増税の負担感は0以下となる。流通段階では川上の消費税は川下に転嫁される。最終消費者と海外の輸出業者には負担となり得るが国内では非課税不課税が働き、関税代替効果を帯びることになる。

 経済連携協定や自由貿易協定が広く締結される。国内産業への一定の保護も必要だが関税は原則撤廃されるので代わりに消費税が不可欠となる。EUの成立には高い消費税率が密接に関わっていると考えられる。

 消費税収入が増えると、法人税関係の減税が行い易くなり企業の投資が増える。また歳入の増加は公共投資の余力も高める。国&地方の財政硬直化の主因は、債務費と人件費。債務の返済を早めても投資余力は高まるし、債務が減れば硬直化は緩和する。

 有効需要(E)=消費(C)+投資(I)なので投資を増やし独禁政策により物価を下げて消費も増やせば、民間の収益増から法人税率引き下げ後も税収増という見通しも考えられる


★47 Commented by 小泉栄子 さん 2008年11月20日 13:50
 

 勝間さんが挙げられたような理由では反対です。

 少子高齢化で国民負担率が上昇するでしょうとおっしゃるならば、なおさらです。

 微々たる年金で生活していかなければならない高齢者や低所得者に対し、暮らしに関わる消費税の増税は不条理です。

 食料品と医療費等の税率を押さえればとおっしゃいますが、高齢者や低所得者は、食べて病気を治療しているだけで生活が出来るとお思いなのでしょうか?

 法人税を下げ、その分社員給与を上げるとしても、それならばこれまで通り法人税として徴収すればよいのです。適正に徴収できていないなら、その監査を徹底すればよいはずです。

 「配分します」という条件の想定も、現在の日本政府では、社会的不安を煽るだけです。

 また他の皆さんがおっしゃるように、法人税を下げたからと言って、国際競争力が上がるとは思えません。携帯電話や水ビジネスの状況を見ても、財力の問題ではなく、政府による企業や団体への甘やかしがあるからのように見受けられます。

 確かに、今回の金融不況で大企業は大きく影響を受けたでしょう。ですがそれは、各企業のリスクヘッジの話でもあります。特にプライムローン問題は随分前から取り上げられていました。景気変動の影響を受けないように、国の税収を安定させるためにと企業を優遇していたのでは、ますます企業としての競争力は弱体化するように思います。

 また、消費税に頼れば景気変動の影響を受けないかと言えば大間違いで、個人の消費が一番直結すると思います。
 法人税は所得(既に得たお金)に対しての課税
 消費税は消費(支出するお金)に関しての課税
節約する事が出来るのはどちらでしょう?

 個人が消費すれば企業も儲かるし、企業が儲かれば個人にも還元されるというものです。

★46 Commented by 目加田誠 さん 2008年11月20日 11:10
 

 従来、累進所得税および物品税がなくなり、その減少分を広く税負担させようとしたのが消費税だった。しかし、少子化や小泉内閣・特命大臣竹中氏の新自由主義経済の実施により所得格差社会になり社会情勢が劣化してしまいました。さらに年金・国保・市民税のアップにより現在の5%ですら低所得者にとっては消費税は負担感が継続しています。

 公平な税負担は累進所得課税方式の方がより公平な再分配機能があります。余裕のある高所得者が支出に応じて~のニュアンスにそれだけ多く消費してくれるのだから相当の税負担があるとの思いがあると考えますが、問題は低所得者にとって苦しいことです。

 「消費税10から15%アップし、法人税を引き下げる」のお考えは、消費者である国民がある最低水準の所得が確保できていたころにはいいでしょう。 しかし、企業が一度人件費の抑制を経験し元に戻ることはないという現状では、少なくと消費税をアップするタイミングを考えず発言した麻生総理は国民を敵に回したのは確かです。

 低所得者の負担が重くなることを防ぐため、食料品や医療費など生活必需品の税率を低くすることも必要です。増収分は社会福祉や貧困対策に優先して配分します。
しかし、そのように簡単にならないと思います。システムが大変複雑になりまたその為の新たな投資コストが発生ます。やるのなら、無税です。中途半端な低い税率の管理なんて煩雑です。消費税の使途目的を考える上で、社会保障体制と税体系の抜本的な見直しが先ず必要ではないでしょうか。

 次に法人税負担が重いと税金の低い香港・シンガポールなどへ脱出を図る企業が出かねませんし国際競争力低下も考えられますとの見解ですが、小泉内閣当時の閣僚がこの論理を当時良く展開していた。この考えは外資系企業には当てはまります。

 法人税の問題だけで海外脱出することは実際できるでしょうか?
 何故なら、今はセキュリティーの問題、国内でやっている人間性を無視した雇用の仕方や人事管理は日本以外の国では受け入れられないでしょう。言葉の問題、社会文化の違い、だから本社は日本で動かず工場レベルだけ外国に移転しています。

 また実際法人税率を下げるには、先ず申告所得を正直に申告させ相当の税金を納める義務を如何に果たさせるかが重要です。法人税を下げた方が良いと言うだけでは困ります。
 今度の米国の金融危機になる以前でも、日本企業は売り上げが上がっても、処理理由はともあれ税金はほとんど払っていない状況でした。

 消費税アップは個人消費のみならず、中小企業活動には大きな影響があるのです。その他、輸出企業の消費税が内国税ゆえに税金還付として戻されることです。この辺についても見直しが必要だと思う。

 このように単純に「消費税10から15%アップし、法人税を引き下げる」と言える状況ではないのです。

★45 Commented by 有野 玲子 さん 2008年11月20日 10:09
 

 反対です。消費税を下げて、所得税を上げるのがいいと思います。

 個人事業主が、なんでも経費で落とすから、という理由がありますが、税務署の調査部門に力をいれたらいいのではないでしょうか? そして、証拠書類の保存書類を、明細のない、領収書ではなく、明細のあるレシート形式の領収書にしたら、いいと思います。
 消費税を上げて、所得税を下げるのは、より、格差を助長することだと思います。

★44 Commented by 下田幸秀 さん 2008年11月20日 10:05
 

 反対です。「お金持ち」の論理だと思います。
 この国の約1/4に該当する1100万世帯が無貯金世帯(推計)、うち100万世帯が生活保護世帯で、年々増加傾向にあります。このように税負担能力が欠乏する世帯が増加する中、逆進性の消費税を上げることには大反対です。
 その一方でこの国の超富裕層は140万人を超え(2005年現在)、この国の全金融資産の1/3(500兆円近く)をたった30万人が握っているという推計もあります。
 このような著しい富の偏在を放置しておいて、なぜマスメディアまでが経済界と一緒になって「消費税増税やむなし」を唱えるのか、私は不思議でなりません。
 私は株式の譲渡益課税こそメスを入れるべきと考えます。なぜならば、累進課税を導入している欧米各国(最高税率アメリカ35%、イギリス40%、ドイツ45%、フランス27%)に比べ、日本は一律に10%と、異常に低い税率を適用しているからです。金持ち優遇政策と言われても仕方ありません。利子。配当課税にしても同様です。

 ですから私は不労所得たる「株式の譲渡益」、「利子・配当」こそ累進課税(低所得者に対する非課税枠のある)にすべきだと考えます。そもそも所得を何に由来するかで区別すること自体が不自然で、総合課税にするのがよいと思います。

 さらにもう一点付け加えておくならば、消費税増税を唱えるのであれば、ムダ使いの元凶である国の特別会計をすべて一般会計化してからです。このような二重行政がまかり通っているのは、先進諸国中、日本だけだからです。

★43 Commented by 瀧澤一郎 さん 2008年11月20日 10:03
 

 法人税率だけでなく社会保険負担率も合わせて議論して頂きたい。

 中小企業経営者です。日本の企業の99%が中小企業で、そのうち90%程度が赤字法人です。

 決して、経費を水増しして赤字になっているのではなく、し烈な価格競争で、個人資産を取り崩してまで、経営を維持している会社が殆どです。

 ですから、そういう企業は法人税そのものをほとんど払っていませんから40%が30%になっても、関係ないと言えます。

 利益の出ている大企業に取っては、意味が大きいかも知れませんが。

 ただ中小企業の負担を軽減して、その見返りに消費税を上げて社会福祉の財源にするというのであれば、社会保険特に厚生年金の企業負担分を会社の規模に応じて変えるべきだと思います。

 具体的には中小企業の社会保険負担率は現行の1/2を1/4~1/5程度にすべきです。

 そもそも、個人の年金を赤字中小企業が負担しなければならない根拠は無いはずです。

 法人税だけでなく社会保険負担も合わせて議論して頂きたいというところです。

★42 Commented by 野沢 直己 さん 2008年11月20日 9:48
 

 消費税上げ、法人減税、には反対です。
 その理由を述べる前に、勝間氏とみなさまのコメントを読んでいて、前提がよくわからないことがあります。

 提言は麻生首相の発言から始まっていますが、麻生氏は、税収が足りないから、福祉・年金などの安定のためには消費税を上げる必要がある と言っています。

 これに対し、勝間氏は、消費税を上げ、法人税を下げる、と書かれてありますが、これは、歳入を増やすということは目的としているのでしょうか、それとも単に、「日本の税体系の再構築」を提案していて、歳入増は目的としていないのでしょうか? そして、「日本の税体系の再構築」は何のためでしょうか?

 それとも、消費税を上げ、法人減税することは、結果的に日本の成長につながり、税体系を組み変えるだけで税収増につながる、という提言なのでしょうか?

 以上のような、提言の目的にあたる部分が不明確だと思います。
 その上で、「消費税上げ、法人減税を」という税体系の再構築が必要だ、との主張に対して反論するならば、日本の税の問題点は大半がその使われ方にあります。特別会計の一般会計化、地方への税源移譲などを含め、税金の使われ方の透明性の確保が行われることが、税体系の見直しよりもはるかに急務であり、日本の諸問題の解決や日本の経済成長のためにも必要と考えます。


★41 Commented by 小林博 さん 2008年11月20日 1:38
 

 消費税と法人税など税金のほんの一部の仕組みにすぎません。それをもって賛成も反対を論ずることは不可能です。

 欧米並みに消費税をあげるのなら、その前にやるべきことは欧米並みに天引き制度の廃止です。多くの先進国で行っている、いわゆる青色申告をサラリーマンにもさせてあげるべきです。事業者もサラリーマンも必要経費については同等にすべきです。天引き対象となっている所得税や健康保険や年金などの大幅軽減化とともに申告制度にすべきです。これは会社の負担軽減にもつながります。減税の前に企業の年金負担もなくすべきです。
 税制全体でいえば明らかなぜいたく品である装飾品や宝石、高額住居等の特定商品への物品税の復活、もしくは消費税の累進税率です。
 物品税が問題だったのは生活必需品である自動車が対象など時代錯誤の税制であったからです。時代錯誤の税制といえば収入印紙税などもありますね。これら時代錯誤で複雑怪奇となっている税制の抜本的整理がまず先です。
 法的には税金ではないが強制的に徴収されているお金。これらも大問題です。特殊法人問題や特別会計問題もあります。「埋蔵金」などと呼ばれて明らかになっていますが、ある意味これらは法的には正当かもしれないが不当としか思えない金として存在しています。
 法人税は軽減すべきです。が、それに対応して消費税をあげるなどと論は不可解です。
 これらは他の税制度や社会システムの整理とともに行われるべきことです。いわれるように4割も社会負担があるにもかかわらず社会保障はひどいです。どこかに金が消えているのです。一例があの社会保険庁の大問題だったわけですね。同様な事がまだあちこちにあると考えるのが普通の感覚です。それを論議、解明しようとせずにもっとも簡単な法人税や消費税税率を問うなどは話になりません。

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勝間さんの提言「消費税上げ、法人減税を」
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