7月31日午前5時すぎ、書店など日本洋書販売(以下、洋版)の取引先にNECリース(株)から昨年6月27日、洋販からNECリースに債権譲渡され、売掛け債権の取立てを洋販に委任、そして今日7月31日付けで取立て委任を解除したことがファックスで通知された。要はNECリースにお金を支払ってください、ということである。
その約4時間後の午前9時すぎ、洋販が自己破産申請、洋販ブックサービスが民事再生手続き開始を東京地裁に申し立てた。洋販は洋書の取次会社、洋販ブックサービスは青山ブックセンターと流水書房を運営する書店である。
今回、噂は少し前から私の耳に届いていたが、書店では7月末がXデーとするとして当月に返品しても入帳されず、そのまま債権者となり損をする可能性が高かったことから、傍観する以外に手がなかった。これまでの出版社倒産であれば、時限爆弾を人に投げるように返品していたが、それができないジレンマをもって今日を迎えた。
それにしてもNECリースはなぜ早朝5時にファックスをしたのか。10時には自己破産を申請するのに、それまでの数時間に書店が同社に支払いをすると思ったのか。まだどこも営業していない未明にファックスを流さなくてはいけなかったのは、取立て委任解除の事実を公にしておく必要があったからなのだろうか。
さらにブックオフコーポレーション(以下、ブックオフ)が、書店を運営する洋販ブックサービスのスポンサーとして支援を検討する旨が発表されたのには驚愕した。
リサイクルブックのリアル店舗約900店をもつブックオフが、青山BCと流水書房を事実上運営することになれば、どういうことになるのか。この2書店の帳合は大阪屋(青山BCの一部は日販が取引)。大阪屋は現時点で取引・流通を続け、今後も継続するとみられる。2書店が新古書を扱うことになっても、大阪屋は新刊・注文分を発送するのか。2店の屋号がブックオフになっても取次会社は流通するのか。ブックオフ900店に新刊・洋書・新古本が並ぶのか。ブックオフオンラインと太洋社の取引にどんな影響があるのか。
いま、業界でシミュレーションできる人間はいない。「なんだか、よくわかんない」という声がいま、一番信用できる。
当社には書店から「洋書は児童書でいい本がたくさんあったのに、もったいない」「『ハリポタ』のコーナーで原書も売っているのに、どうすればいいんですか」「お客さんの注文はどうするんですか。代替となる洋書の取次会社を紹介して」「そもそも、これって本当のことなんでしょうか」という問合せがドンドンくる。
洋販は1953年に設立。約20カ国の出版社約150社と取引きしていた。帝国データバンクによると、92年9月期 売上高約96億3800万円を計上。03年6月(株)タトル商会を吸収。05年8月期(決算期変更)売上高は55億6300万円に減少。06年1月にはファンドが出資する持株会社インターカルチュラルグループ(株)を設立し、洋販はその傘下に入った。07年11月(同)売上高は31億2500万円と悪化。最終利益で10億6500万円の赤字決算となっていた。
社長 丸島基和
(2008/7/31)
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