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パナソニック電工、社名変更で採用活動に思わぬ余波
松下電工から社名変更したパナソニック電工が、新たな「課題」に直面している。社名から「松下」の文字が消えたことで、他のパナソニックグループ各社の中に“埋没”してしまい、新卒大学生の採用に支障が出始めている。一層のグローバル化を目指し、10月に一斉に「パナソニック」へ社名、ブランド名を統一した旧松下グループだが、思わぬ余波が…。危機感を感じたパナソニック電工は、新卒大学生の採用態勢の強化に乗り出した。
「(社名変更後)80分の1になってしまう危機感がある」と、パナソニック電工の村上通男常務(人事部長)は話す。
昨年までは、就職サイトで「松下」と入力して検索すると、松下電器産業(10月からパナソニック)や松下電工など数社しか出てこなかった。
グループ企業で松下の名前を残していた主要会社は、松下電器産業以外では、松下電工や松下エコシステムズ(現パナソニックエコシステムズ、愛知県春日井市)などわずかだったからだ。
しかし、10月以降、状況は一変。「パナソニック」と入力すると、グループの約80社がずらりと並び、「電工は独自に採用活動をしてきたが、他に埋没してしまう」(村上常務)状況になったのだ。
同社にとって事態は深刻だ。今秋から平成22年度入社の学生採用活動をスタートさせているが、このため、態勢の大幅に強化に乗り出した。
学生と接触する先輩社員のリクルーターに、例年の2倍の400人を投入する。従来、接触する学生は1万3000人程度だったが、今回は倍以上の3万人を目標にする。
また、全国で実施される企業の合同説明会への参加を、昨年度の4回から18回に、同社独自の会社セミナーの開催回数も、24回から33回にそれぞれ増やす。「学生からのコンタクトを待って動く姿勢では苦しい。こちらから仕掛ける」(同)という。
学生向けの会社案内パンフレットも、従来はわずかな手直しで済ませてきたが、今回は大幅に変更。執行役員クラスも登場させ、失敗談を語ってもらうなど、親しみやすさを強調した。一連のリクルート活動に要する費用は、例年の3倍を投入する計画だ。
今年、パナソニックと同じ創業90周年を迎え、パナソニック子会社の中でも最大の売上高を誇るだけに、グループ他社との“差別化”に懸命だ。
同社は「パナソニックと同じ歴史をもち、松下幸之助創業者の理念を受け継いできた。歴史の深さ、人づくりの強さをアピールしていきたい」と話す。