●金融市場には悪材料だけが山積
衝撃の経路は大きく分けて二つある。実体経済の低迷への懸念が世界の株式市場に影響し、これが韓国市場の投資心理を冷え込ませる。また、グローバル経済危機が韓国の輸出に打撃を与えて、企業の実績悪化や倒産の懸念が高まる。今は、内外のどこを見渡しても、これといった好材料が見当たらない。投資者の心の中には、「期待」は姿を消し、「心配」だけがあふれている状況だ。
危機の震源地の米国では、自動車会社の倒産の恐怖が広がっている中で、雇用・物価・住宅景気など実体部門で、連日悪いニュースが報じられている。消費者物価は3ヵ月連続下落し続け、デフレの懸念が膨らんでいる中で、新規住宅建設も統計を取り始めて以来、最も低い実績を出した。欧州と日本経済も「マイナス成長」に突入しており、有数のグローバル金融会社の1社か2社がさらに崩れるのではないかという恐怖感が市場を支配している。
このような外部状況を受け、苛立ちを募らせた外国人投資家は、国内の株式市場で20日まで8取引日連続、売り越しを続け、指数下落を主導した。また、株式を売った金をドルへ両替しているため、ドルに対するウォン相場も急落している。
国内の事情も良くない。建設会社と中小の造船会社の経営悪化は既に株価に反映されており、同業界に対する構造調整が順調に進められていないことから、不安はさらに高まっている。流動性供給や金利の引き下げなど、政府の政策は市場で効果を失って久しい。健全性悪化に苦しんでいる銀行も大きな悩みの種となっている。
金融委員会のある高官は、「先進国の金融機関が資産回収や充当金の蓄積に走るなど、自社の健全性確保に尽力しているため、国内銀行の外貨借り入れなどが依然として容易でない状況だ」と述べた。
●年末が「重大なヤマ場」
専門家らは、「今度の年末年始でさらに大きな危機がやってくるかも知れない」と懸念している。まず、各企業と金融機関が一年の帳簿を整理する決算シーズンが近づいている。銀行は自己資本比率を合わせるため、融資を回収しなければならず、企業も借入金を返済するために資金を求めている。自ずと市場ではお金がさらに足りなくなる。
韓国経済研究院のベ・サングン研究委員は、「年末の決算が近づいている中、外国人投資家の売りに歯止めがかからなければ、株式市場や外国為替市場の不安も高まりかねない」とし、「また、決算が終わって、来年の初め、企業や金融機関の良くない実績が発表されると、これも衝撃要因になる」と分析した。
株式市場では外国人の売り物を受け入れる主体がなくて受給が崩壊されている状態で、来年の貿易収支も赤字が予想されていることから、ウォン安も長引きかねない。また、限界状況に至った企業の倒産がこの時から本格化する恐れがある。
ハナ大投証券のヤン・ギョンシク投資戦略室長は、「構造調整が本格化し廃業する会社が続出しかねない。どこの会社が市場から退場させられるのかに対する不確実性が最も高くなる時点であるため、金融市場の混乱も避けられそうにない」と展望した。
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