2008年07月30日
牛乳やヨーグルトで脳卒中が減る効用が!?
厚生労働省研究班による多目的コホート(JPHC)研究班は7月29日、各種食品からのカルシウム摂取量と、脳卒中・虚血性心疾患(狭心症や心筋こうそくなど)との関係を調べた結果を発表した。それによるとカルシウム摂取量が多い人は脳卒中の、乳製品からのカルウシム摂取量が多いと脳卒中・脳こうそくのリスクが低下する傾向が見られることが明らかになった。研究班では食生活において、特に乳製品でカルウシムの摂取を増やすことで、脳卒中などを予防できる可能性が示されたと分析している(【発表リリース】)。
今調査は岩手県二戸、秋田県横手、長野県佐久、沖縄県中部、茨城県水戸に在住の40~59歳の男女4万人ほどを対象に、1990年を調査開始年とし、2002年まで追跡したもの。なお追跡調査中に脳卒中1321人(脳こうそく664人、脳出血425人)、虚血性心疾患322人が確認されている。
まず総カルシウム摂取量で5つのグループに分類。脳卒中や虚血性心疾患の発症リスクとの関係を比較した。すると、総カルシウム摂取量が多いグループでは少ないグループに比べ、最大で0.70倍もの低下が見られた。
総カルシウム摂取量と脳卒中発症との関係
脳こうそくの発症リスクとの間にも、似たような関係が見られたという。
そして今度は「乳製品からの」カルシウム摂取量で5グループに分けて発症リスクとの関係を分析したところ、脳卒中全体で0.69倍、脳こうそくで0.69倍、脳出血で0.64倍もの低い値であることが確認できたという。一方「乳製品以外からの」カルシウムでは、摂取量が増えたグループでも発症リスクの低下に「統計学的な低下傾向」は見られなかったとのこと。
乳製品・乳製品以外からのカルシウム摂取量と脳卒中発症との関係
脳卒中のリスクを
減らす効用があるようだ
以上の分析から「食事からのカルウシム摂取、特に乳製品からのカルウシム摂取が脳卒中の発症リスクを低減させる」ことが、日本人の追跡調査ではじめて記されたという。もともと日本人では総カルシウム、特に乳製品からのカルウシム摂取が多い人は血圧値の低下や、血小板の凝集・コレステロールの吸収を抑える効果があることが報告されている。研究班ではこれらが脳卒中に対する予防効果をもたらしているのではないかと説明している。
ただし今回の調査では「サプリメントからのカルウシム摂取」については検討されていないため、サプリメントでカルウシムを摂取した場合、同様の効果が得られるかどうかは分からない、としている。
牛乳をはじめとする乳製品が健康に与える影響は賛否両論あるが、少なくとも統計データにおいては「脳卒中の発症リスクを低める」という効果が期待できそうだ。
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