名張市が10年度から12年度までの3年間で28億2600万円の財源不足に陥り、同年度に早期健全化団体に転落する見通しであることが20日、分かった。健全化団体になると、外部監査が必要になり、財政健全化に関して総務大臣の勧告を受けるため、市は「年度内に財政健全化計画をまとめ、転落を回避したい」としている。【金森崇之】
市議会全員協議会で亀井利克市長が明らかにした。市の試算では、09年度から13年度までの歳入と歳出の差額は、単年度で9億2900万円~21億5200万円の不足。退職手当債の発行や市職員給与の見直し、公共施設の手数料値上げなどで補っても、10年度は8億2200万円の赤字が発生する。11年度には財政調整基金などが枯渇して累積赤字が約19億円に達し、実質赤字比率が国の基準である12・77%を超えるため、早期健全化団体に転落する見込み。
赤字発生の主な原因は、市立病院の経営が悪化したことや、滝之原工業団地の地価下落分などを、市が負担する必要が出てきたため。中央西土地区画整備事業の保留地売却が進まないこともあり、13年度までに約29億円の財政負担が必要になるとしている。一方、13年度には同事業や市土地開発公社の精算が完了し、市立病院の経営改善で歳出削減が見込まれるため、単年度の黒字に転じ、18年度をめどに累積赤字も解消する見通し。
この日、亀井市長は「10年度以降が(財政再建の)最後の山場」と強調。歳入・歳出改革に踏み込んだ財政健全化プランを来年4月に発表し、市内14地区での説明会を開く方針。
〔伊賀版〕
毎日新聞 2008年11月21日 地方版