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韓流観光客を投げ付けた修羅場のコンサート

 一昨日、ソウル蚕室(チャムシル)運動場で開かれる予定だったコンサートが、1万人を超える観客を集めておいた状態で取り消しとなり、数千人が夜遅くまで抗議するという修羅場と化した。

 資金と進行能力の足りない新生のプロダクションが無謀に大型コンサートを企画したのが問題だったが、何よりも赤面せざるを得なかったのは突然の出来事に狼狽する外国人観光客の姿だった。

 日本と中国から来た1500人は訳も分からず、コンサートの予定時間が3~4時間が過ぎた後も席で待っていた。ある日本人観光客は「日本では想像もできないこと」とした。韓流を本土で楽しもうとやってきては、この上なく荒唐な経験を強いられたこの観光客たちが韓国をどのように思うか、言うまでもない。

 また韓国を訪れたいなどと思うわけもなく、帰国した後、引き続き韓流のファンとして残るかどうかも疑わしい。

 韓流と呼ばれる韓国大衆文化商品の熱気は、海外への輸出や観光客を誘引するだけの文化商品をあまり持たない韓国にとっては、初めて迎えた絶好の機会だ。去年韓流で得た経済的利得は、観光客誘致效果まで合わせ、8500億ウォンと推定される。

 韓流は韓国と韓国国民、韓国文化と韓国商品のイメージをあまねく高めてくれる。こんなことまで合せれば、効果は金に換算することができないほど、莫大だといえる。

 外国の文化観光地が込み合うのは、見どころが多いためではない。悪天候で荒れ地である英国の田舍村、ハワースに世界中の観光客が群がって来ることは、「嵐ケ丘」の舞台だからだ。

 その背後にはもちろん、文学、芸術作品を国家的観光宝物として包装し、管理した政府の努力がある。

 自然や歴史観光資原をふんだんに保有している中国が「三国志」の現場復元に乗り出したのも、文化観光客の重要性を分かっているためだ。

 私たちは韓流を元金として、アジア大衆文化の本山となる機会に迎えた。修羅場のコンサートはまさにこのような雰囲気に水を差した。

 準備なしに一攫千金を狙って飛び掛っては、海外コンサートまで取り消す事態が相次いでいる。このままでは、韓流も80年代の香港映画のように、一時の流行で終わってしまうだろう。

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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