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【社説】「中国辺境の一小国に転落しうる」という警告

 韓国経済の専門家として知られるモルガン・スタンレーのアンディ・シェ(謝國忠)首席エコノミストが「韓国は潜在成長力の拡大に失敗すれば、中国の辺境をなす一小国やフィリピンと同レベルの貧困国に転落することもあり得る」と語った。この発言は、朝鮮日報が連載している海外経済専門家とのインタビューの中で飛び出した。

 同エコノミストは「韓国は今から4-5年の間に岐路にさしかかる。この間にめざましい潜在成長力の拡大を実現できなければ、韓国経済は行き詰まる」と予測した。まだまだこれからという時期に「理念病」 「早老病」 「福祉病」 「過去史病」にかかり、早くも急激に潜在成長力を落とし始めた韓国経済に警告を発したものと言える。

 韓国経済は2003年以降3年間、年平均3.9%の成長率にとどまった。これは潜在成長率(5%)をはるかに下回る数値だ。潜在成長率とは、物価上昇などの副作用なしに達成が見込まれる成長率を指す。

 盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権が発足してからの数年間で、韓国が持つ実力相応の成長率を一度も記録できなかったことになる。結果として韓国の経済や国民の所得を拡大する上で、現政権は障害物も同然だったと言っていい。

 かつて韓国は1988年のソウル・オリンピック以来、1997年までの10年間に年7.7%の成長率を達成した。これは潜在成長率を1~1.7%上回るだけではなく、世界の平均成長率(3.4%)の2倍以上に相当した。

 しかしここ数年間にわたり低成長が続いたことで、韓国の潜在能力である潜在成長率すら激しい落ち込みを見せている。韓国開発研究院(KDI)によれば1980年代末に7.8%だった潜在成長率は、90年代には6%台に落ち込み、2000年以降は5%を下回った。

 今や韓国は経済協力開発機構(OECD)に加盟する23カ国のうちで、3番目に潜在成長率の下落が著しい国となった。一方、OECD加盟国のうちでもアイルランドを始めとする構造改革に成功した15カ国は、90年代から潜在成長率を最大で2倍にまで拡大している。

 こうした中で、企業・個人を問わず、韓国を離れ、海外に活路を見いだそうという動きが拡大している。今年上半期の企業や個人の海外投資は71億ドルを記録し、昨年同期に比べ83%も増加した。また、最近開かれた投資移民説明会には数日間で数万人が押し寄せ、大変な混雑ぶりを見せたという。

 企業投資の規制・「反企業」の風土・労働組合、そして国民を「持つ者」と「持たざる者」に区分けして分裂と憎悪をあおる政府政策がもたらした結果だ。

 盧武鉉大統領は先日、「株価が2倍以上に値上がりしており、『経済は正常だ』と言っていい」と語り、経済副首相も「経済成長が安定した伸びを維持している」とし、大統領を擁護した。

 このままでは韓国は本当に「中国辺境の一小国」に転落してしまうのではないか。今のような実体の伴わない政権が続けば、韓国の女性が家族を養うために家政婦として海外へ出稼ぎに行かざるを得ない日が来ないとも限らない。

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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