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韓国が歩んだ分裂と喪失の10年とは(下)

◆社会-さらに大きくなった喪失感と無力感  

 制度の透明性と共同体への帰属意識、健全な市民意識などにおける進展がみられないまま、社会的葛藤を調整する健全なリーダーシップが失われ、社会全般のビジョンを共有する能力も失われた。過去の伝統がその有効性を急速に失っている一方、新しい社会組織の原則はまだ明確ではない。経済的な豊かさだけでは満たされない社会的喪失感や無力感も増大している。労働市場の改革では、正規職に対する過剰な保護と非正規職に対する過少な保護という二重性の緩和に失敗した。

◆文化-「個」は存在するが「公衆」は不在  

 外国人労働者や結婚移民者が増え続けている状況の中でも、多文化に対しては関心を示さない「韓国的世界化」の現象は、第2の危機を招きかねない要素だ。携帯電話やインターネットの急速な普及は、自らの要求を確認・表現し、洗練された方法で自らと周辺を管理する私的な個人を出現させた。しかし私的な要求と利害関係の当事者としての「個人」が強く発達した一方で、市民としての能力や市民性を兼ね備えた「公衆」は形成されなかった。

◆今後はどうなるのか 

 執筆者を代表し鄭教授は過去10年間を振り返りながら、▲国家と市場の補完関係を重要視する新しい経済パラダイム▲汎社会的信頼の構築を重要視する社会的調整装置パラダイムを提案した。リーダーは長期的観点から大きな将来像を明確に示す必要があり、社会の構成員たちは「規則に従って黙々と準備し、真面目に生きている人たちが恩恵を受ける」という事実を直接体験できるようにすべきということだ。

兪碩在(ユ・ソクジェ)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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