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韓国が歩んだ分裂と喪失の10年とは(上)

【新刊】『アジア通貨危機10年、韓国社会はいかに変わったのか』(ソウル大学出版部)

 「IMF事態」と呼ばれる1997年11月のアジア通貨危機の衝撃が、その後10年にわたり韓国における政治・経済・社会・文化の各方面に及ぼした影響を総合的に分析した研究書が出版された。ソウル大学経済学部の鄭雲燦(チョン・ウンチャン)教授、同じくソウル大学社会福祉学科の曺興植(チョ・フンシク)教授、高麗大学経済学科のイ・ジョンファ教授ら16人の学者が共同で執筆し、14日に発売された『アジア通貨危機10年、韓国社会はいかに変わったのか』(ソウル大学出版部)がそれだ。

◆経済-長期的成長潜在力が低下  

 同書はアジア通貨危機後の韓国経済が早い時期に回復できた重要な要因として、多額の公的資金が構造調整に投入されたためと分析している。しかしその過程において財政の健全性が失われ、今後再び同じような危機に直面すれば、簡単には克服できそうにない状況になった。金融部門の健全性は改善されたが、一般家庭の借金や不動産担保ローンの急増からも分かるように、金融と実物経済の乖離(かいり)が大きくなっている。個別の経済主体によるリスク回避性向が強まり、企業による投資が減少して一般家庭が安定した資産を好む傾向が強まったことから、長期的な成長の潜在力が低下しているというのだ。

◆政治-庶民との関係が希薄になった改革  

 選挙制度改革や大統領の権限に対する国会の牽制などの民主的手続きは1歩進展したが、不安定な政党システムや過剰な地域の対立は今も続いている。盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権は「敵と味方」という二分法的な解釈に立脚し、「既得権を持つ層」を攻撃するというやり方で新自由主義的経済改革への支持を訴えたが、それによって得た利益を庶民に分け与えることができず、二極化が進んだ。盧武鉉政権は政治改革において過去の清算では実績を残したが、経済改革では金大中(キム・デジュン)政権以上に国による介入という要素を強めてしまった。

兪碩在(ユ・ソクジェ)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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