大日本帝国を下支えするため生まれた日本の国学(下)
【新刊】子安宣邦著、キム・ソククン訳『日本近代思想批判‐国家・戦争・知識人』(歴史批評社)
◆その他に読む価値のある本
正規の教育課程では1度も学んだことはないが、事実上20世紀韓国の知識体系に多大な影響を及ぼした分野が日本近現代思想だ。韓国で出版された概論書としては『近代日本思想史』(ソミョン出版)が挙げられる。これは1959年から61年にかけて筑摩書房から出版された『近代日本思想講座』シリーズのうち、第1巻『歴史的概観』に該当する本で、戦後日本思想界を代表する学者らが執筆を手がけた。明治維新以来、自由民権運動と無政府主義、プロレタリア文学運動からファシズムまで複雑多様な思想の展開を幅広く叙述している。
『日本近代哲学史』(思索の木)は、宮川透、荒川幾男などの専門学者6人が時代別に分担執筆した本で、日本が欧州の哲学思潮をどのように受容したかを分析した世界史的観点からの記述が際立っている。さらに、近代日本思想を一目瞭然と概観した本としては鹿野政直著『近代日本思想の手ほどき』(ソファ)がある。
このほか、民衆思想史研究の権威・安丸良夫が執筆した『現代日本思想論‐歴史意識とイデオロギー』(ノンヒョン)は、戦後の日本思想に焦点を合わせ、新たな全体主義とナショナリズムの台頭を懸念した本だ。次いで『太平洋戦争の思想』(イマジン)は、1942年に開かれた日本知識人らの座談会「近代の超克」と「世界史的立場と日本」などを翻訳したもの。そしてこの「近代の超克」に対する批判的分析が廣松渉著『近代超克論』(ミンウム社)だ。一方、ステファン田中著『日本東洋学の構造』(文学と知性社)は、表面では実証主義を強調していた日本の東洋学が、実際には日本のアジア支配を下支えしていたと分析した本だ。
兪碩在(ユ・ソクジェ)記者
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