放言が目立つ麻生首相の口調は「べらんめえ」と言われる。北陸の私たちには、なじみがない べらんめえは、バカなヤツと人をののしる「べらぼうめ」が転じた、と辞書にある。江戸の下町で流行した、ともある。ビートたけしさんなら似合うが、学習院育ちのお坊っちゃんが自然に身につける言葉ではない。身の丈に合わない服を着ているから、勢い余って放言が飛び出すのだろうか 首相の放言に、閣僚が苦言を呈する。逆の話なら、これまでもあった。オレがオレが、の独断専行型は、「なにとぞ自重を」といさめる側近を遠ざける。ワンマン宰相の血を引く首相にも、そんな気配が見受けられる 演説上手が人気を集める米国とは違い、おしゃべりよりも寡黙、重みのある言葉を大切にするのが日本流である。前首相は、人の心をそらす含み笑いと、他人事のような言葉遣いで人気を失った。その前には、意味の通じにくい横文字を得意顔に乱発した首相がいた。時に言葉は命取りになる 陳謝すれば騒ぎが収まる放言もある。が、後に尾を引くパンチもある。首相の足元がふらついてはいないか。
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