「失敗は次で取り返せばいい」。若い選手の心をつかみ、乗せる術にたけた渡辺久信監督の率いる西武が今年のプロ野球日本シリーズを制し、日本一に輝きました。
どうしたら後輩の力を高め、引き出せるか。胴上げシーンをテレビで眺めながら思案にくれたサラリーマンも、業界を問わず結構いたでしょう。
駆け出しのころは、ポケットベルの時代。資料もデータも取材で足を運ぶか、固定電話からファクス送信をお願いして手に入れていました。
学生のうちから電話は携帯が当たり前、知りたい情報はインターネットで瞬時に検索してきた世代の仕事観や人生観が理解しがたいときがあります。記者に限らず、営業でも、ものづくりの現場でも、似たような悩みがあるはずです。
デスクとして、何度となく考えが甘いとしかりました。言い訳が先に立つ電話に、受話器をたたきつけたことも。彼ら、彼女らはそのとき、どう感じたでしょうか。
話は西武の日本一に戻りますが、優勝インタビューの中に、一つの答えを見つけたような気がしました。
疲れを押して好投し、最終戦まで持ち込む立役者となった岸孝之投手です。最終戦の西武の先発は、しばらく登板のなかったかつてのエース・西口文也投手。「西口さんに投げてもらいたかった」という言葉が耳に残りました。
先輩が常に正しいとは決して言えません。要は、意気に感じさせる先輩であるかどうか、ということではないかと。
(経済部・大森知彦)