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本誌記者 大麻密売人を直撃
「年収は5年で1千万円増」
2008年11月20日(木)0時0分配信 AERA
掲載: AERA 2008年11月24日号
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慶応や同志社の大学生、歯科医師、プロテニス選手……の逮捕。
私たちの身近なところで、「大麻汚染」は広がりつつある。
ウインクが合図だった。
ひんやりした空気が漂う11月上旬の金曜夜10時過ぎ。若者でごった返す東京・渋谷センター街近くに立っていた中東系の男は、記者がウインクに応じて軽くうなずくと、あごで「こっちに来い」と商店の軒下に呼び寄せた。
「なにがほしい?」
覚せい剤は0・15グラム1万4000円、大麻なら0・5グラム5000円だと、日本語ですらすら話す。そして、携帯電話の番号をこちらに告げると、
「新大久保駅で電話して」
と言い残し、周囲を気にしながら雑踏に消えていった。
大麻は簡単に入手できる。大麻汚染は大学生どころか、中高生にも広がっていた。
「連絡があれば待ち合わせ場所を決め、その日のうちに渡す。昨日も覚せい剤や大麻など、15人に売った」
神奈川県内の焼き肉店で向き合った密売人(49)は、カルビをつつきながら話した。刈り込んだ短髪に日焼けした精悍な顔つき。スエットの上下に身を包み、しわがれた声で必要なことだけを簡潔に述べる。
「ここ1年の利益は2500万円ぐらい。そのうち約4割が大麻。5年前と比べると、もうけは1千万円ほど増えた」
顧客は約120人。うち80人ほどが大麻を買う。10グラム5万円、5グラム3万円前後。コンビニの駐車場などを指定し、客を見定めてから、自分の車の助手席に招き入れる。大麻の客には高校生もいるという。
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