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医師会には社会的常識が欠落している人が多い

麻生首相の「失言」が次々に問題になっている。きょうは「医者には社会的常識が欠落している人が多い」という発言が槍玉に上がっているが、これは文脈を無視した引用である。もとの発言は、朝日新聞によれば、
(医師不足が)これだけ激しくなってくれば、責任はお宅ら(医師)の話ではないですかと。しかも「医者の数を減らせ減らせ、多すぎる」と言ったのはどなたでした、という話を党としても激しく申しあげた記憶がある。
というもので、これは正論だ。小倉秀夫氏も指摘するように、かつて「医師過剰」の是正を繰り返し求めたのは日本医師会出身の議員だった。たとえば1993年に参議院文教委員会で、宮崎秀樹議員(当時)は
次は、大学の医学部、医科大学の学生定員の問題でございます。これに関しましてはいろいろ定員削減という方向で文部省と厚生省との話し合いができておりまして、一〇%削減、こういう目標を立ててやっているのですが、実際にはそこまでいっていない。[・・・]例えば昭和六十三年には十万対百六十四人だった。これが平成三十七年には三百人になるんです。三百人というのはいかにも医師の数が多過ぎる
と医学部の定員削減を求めている。宮崎氏は日本医師会の副会長を歴任した。

実は、私もこのころ医師会に取材して驚いたことがある。カルテの開示について、社会部の記者と一緒に某常任理事にインタビューしたところ、彼は「あなたがたは勉強が足りないから教えてやる」といって演説を始めたのだ。「医者と患者は同格の立場ではない。患者は判断能力がないのだから、カルテなんか見るのは混乱するだけだ。黙って医者のいうことを聞けばいい。医師会は、インフォームド・コンセントなんてまやかしの流行には乗らない」とカメラの前でぶちまくる彼に、われわれは唖然とした。

私もいろんな職業の人とつきあったが、こんなふうに特権意識丸出しで相手を見下してしゃべるのは、全銀協と医師会だけだった。医師全体がどうかは知らないが、医師会に社会的常識の欠落した人が多いことは間違いない。医師会は官邸に抗議に行く前に、自分たちが過去にどういう政治的圧力をかけてきたのか、思い出したほうがいいのではないか。
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コメント
 
 
 
麻生さんへのバッシング? (ゆい)
2008-11-20 21:26:03
>これは文脈を無視した引用である。

麻生さんへのバッシングが始まったような
気がします。

今週の週刊新潮も文春もトップは
麻生さんの記事でした。
 
 
 
Re: 麻生さんへのバッシング? (池田信夫)
2008-11-20 22:01:21
こういうバッシングは、一斉にはじまるのが特徴です。これは麻生氏がもう「死に体」で、義理を果たさなくてもいいと見限ったからです。

政治部の記者というのはむずかしい仕事で、いつも密着して仲良くしている人のことを記事では批判しなければならない。政治家は自分の悪口を書いている記者は近づけないから、記者も手加減する。この手加減が非常にむずかしく、やりすぎると「甘い」といわれる。

だから今のように各社がバッシングを始めると、自分だけ拒否される心配がないから堰を切ったように始まるわけです。麻生氏の読み間違いなんて前からたくさんあったのに、まるで今週から始まったみたいに。警察が逮捕したとたんに大麻を重罪扱いするのと同じ、横並びの記者クラブ根性です。

でも新聞記者にまでなめられるのは、もう政権末期の兆候です。いくらなんでも今度は投げ出せないから、麻生氏は年内に解散して花と散るでしょう。
 
 
 
あのさ〜 (市井人)
2008-11-20 22:06:19
マスコミの方々、もう「正義のムチ」振り回すの止めません?
サドじゃないんだから。

政治家の方々、とりあえず謝っちゃうの止めません?
河野外務大臣じゃないんだから。
 
 
 
閉鎖社会の社会的常識 (伊藤)
2008-11-20 22:14:57
麻生総理と池田先生の見解に全面的に同意します。
医師会のような閉鎖社会では一般的な社会的常識が欠落するのも仕方ありません。既得権の壁の向こうで偽りの正義を叫んでいるマスコミと医師会は同じ悪臭がします。

複雑怪奇でまともな人間を寄せ付けない日本の法体系がこの様な社会の歪みの温床となっているのは明らかです。出来る限り地方分権にしてお互いを競い合わせることでこの法体系に従順な自治体が淘汰されて行くことを望みます。その煽りで(自分にとっては)カルト教の条項としか思えない憲法第九条も廃止になればと希望します。
 
 
 
インテリ縦社会 (NGT)
2008-11-20 22:28:47
医師会や医大はまるで体育会系のような縦社会で,酒の席で下っ端が宴会芸やイッキを強要されるのがザラだと聞いたことがあります(医大の宴会写真が医大HPから流出してその下品さが一部で話題になったことがあります).
医者たちの内輪でもその様ですから,医学界外部への特権意識はよほどのものでしょう.
 
 
 
全銀協と医師会、と (松本)
2008-11-20 22:33:57
>は、全銀協と医師会だけだった

全銀協がそうなら、大蔵省も勿論そうです:

http://homepage3.nifty.com/nmat/OHKURA.HTM
大蔵省汚職報道に接しての個人的な発見
 
 
 
麻生発言 (松の介)
2008-11-20 22:42:34
政治家としては失言でしょうが「医師の多くが社会的に非常識」というのは少なくとも関係するビジネスの世界では常識と理解していました。
泣かされている人たちの話を聞かされたものです。
 
 
 
Unknown (arm)
2008-11-20 22:42:37
救急医療が崩壊寸前なのは麻生さんがぽろっと言ってしまったように、
医者達にも責任があります。特に諸悪の根源は医師会です。

医師会が開業医の保険点数を上げるよう圧力をかけ、制度が改悪されてきたおかげで、
病院は赤字に苦しんでいます。
そのため、病院医は安い給料で働かされ、且つ過労死寸前まで忙しい状態にもかかわらず、医者の増員もできないところが多いのです。

医師会の圧力を無視して政治が医療制度改革をしないと、現在の救急医療の異常な状態は改善されないのです。
 
 
 
唐沢会長自身が社会的常識が欠落した医者の見本では? (平凡な一国民)
2008-11-20 22:53:01
 日本医師会の唐沢会長を首相官邸へ抗議に赴いたというニュース映像で見ながら、「随分と不健康そうな人間だな・・・」と思っていました。ところで年は幾つくらいなんだろうと思い、ネットで検索したところ、何と65歳!えーと、思わず驚いてしまいました。ごく最近、小脳出血で緊急手術をしたようで・・・ん・・・?こういう人間が医師会の会長におさまり、日本の医療を云々しているのかと思うと、実に寒々というか、愕然とする心境になりました。自分の健康も守れないような医者が日本の医師業界のトップに立つって一体どういうことなんだろうと思う。むしろ、麻生首相に抗議した唐沢会長自身が「医者には社会的常識が欠落している人が多い」の象徴的な見本のように思えてなりません。これって、偏見でしょうか?
>日本医師会の唐沢会長が緊急手術
http://sankei.jp.msn.com/life/welfare/080108/wlf0801081143003-n1.htm
 
 
 
医療問題 (yossy)
2008-11-20 22:58:28
最近小倉氏のブログで論じられた医師の数や待遇を巡る議論は興味深かったですね。小倉氏は淡々とデータを出して議論しているだけなのだが、えらく反発があって。
 
 
 
Unknown (閑話ノート)
2008-11-20 22:58:59
既得権に少しでも触れられると、過剰に反応する最たる団体が医師会。
そのトップらの今日の言動を見れば明らかです。
 
 
 
誤解なきよう (池田信夫)
2008-11-20 23:02:22
私は個々の医師が非常識だといっているのではありません。特定郵便局長会なきあと、今や最大の圧力団体となった医師会が非常識だといっているのです。特に今回問題になっている勤務医の不足は、開業医偏重の保健の点数の悪影響です。

風邪ぐらいしかみないで、むずかしい病気はすぐ大病院に送る開業医の年収が、毎週当直勤務があって緊急手術で患者が死んだら訴訟を受ける勤務医の1.8倍というのは、どう考えてもおかしい。麻生氏もいうように、診療報酬体系を見直さないと勤務医の不足は解消しない。政治の場で「医師の名誉を傷つけられた」とかいう精神論を議論してもしょうがない。
 
 
 
常識的な医者が増えた (猫研修医)
2008-11-20 23:31:14
実情をかんがみれば、
将来性(食っていけるか)を考えてキャリアパスを組み立て、
労働者としての権利を理解して使用者とネゴり、
医局のような封建的人事システムを否定し、
仕事よりも自分の生活や家庭を大事にし、
訴訟リスクは回避する、
そういう医師が増えたというのは正しいでしょう。

ただ、それは労働者全体としては常識的な行動のような気がします。
昔は「医は仁術」といっては家庭を顧みず、
明らかに労働条件が悪かろうとも、夢を追って飛び込み、
リスクが高くて儲けのない分野に挑戦していた
非常識な人々は激減しました。

老害が一掃されれば、極めて常識的な
サービス業界の1集団に落ち着いていると思います。
 
 
 
若い医者にはマトモな人も多い? (長井利尚)
2008-11-20 23:42:21
私の経験の範囲内の話で恐縮ですが、“「白い巨塔」のような大病院のエライ先生=ハ゛カ”という印象を持っています。

親が医者ではなく、苦学して医学部を出て、30過ぎで開業した若手医師には、ずいぶんとマトモな人が増えたと感じます。
 
 
 
誤解されます。 (旧帝大学病院勤務医)
2008-11-20 23:43:27
11月17日の先生のブログでご指摘されているように「1億人の知的水準の平均値は、当ブログの読者には想像もできないぐらい低いのだ。」とおっしゃっていますが、このブログのコメントを見る限り読者の知的水準も怪しまれます。医師に対するルサンチマンは結局勤務医にのみ刃が向かい疲労困憊し現場から立ち去って行くのです。勤務医と開業医を混同されてもこまります。もちろん産婦人科開業医の先生の多くは過労死寸前で働いています。医者といってもひとくくりにしないでいただきたい。

ご存知かもしれませんが、外資系コンサルタント企業のマッキンゼー・アンド・カンパニーの就職説明会に「東大医学部の学生が23人も訪れていた」そうです。
ネタ元はhttp://www.excite.co.jp/News/society/20081001/Cabrain_18505.html

もうこの業界は崩壊寸前です。
 
 
 
医師全体がどうかは知らない (勤務医)
2008-11-20 23:49:34
のであれば、もっと調べてからコメントしていただきたい。
1.医師会なんて、開業医の団体であって、医師全体の意見を代表している訳ではない。現在は圧力団体ですらないでしょうし。
2.あなたが取材したのがNHKに所属していた15年以上前の話であれば、今は状況が全く違います。
3.小倉秀夫氏なんて偏った情報に基づいた偏った分析しかできない人の情報を鵜呑みにするのは間違い。
4.たまたま、宮崎秀樹議員と厚生省の思惑が一致しただけでは?今も昔も『医師の数が多過ぎる』なんという状況は存在してませんが?
5.『私もいろんな職業の人とつきあったが、こんなふうに特権意識丸出しで相手を見下してしゃべるのは』というのは、マスコミ人もそうなのではありませんか?


意味不明のコメントがついていたので、コメントしてみました。
専門外の知らない事に生半可な知識でエントリを作らないでいただきたい。
 
 
 
やっぱり (arq)
2008-11-21 00:24:39
医師の書き込みを見るとやっぱりギルドだと思いますね。最近の小倉弁護士の主張に対する反応をあちこちで見てもそう思います。

>専門外の知らない事に生半可な知識でエントリを作らないでいただきたい。

「新小児科医のつぶやき」や「元検弁護士のつぶやき」を読んでいる私でさえそう思うのですから、もう崩壊すればいいと思いますね。
 
 
 
社会的常識を欠いた医師の顛末 (旧帝大学病院勤務医)
2008-11-21 00:37:48
 私の恩師で、JR福知山線脱線事故で救命活動に尽力した救命医が平成18年5月に自殺しました。通常の勤務以外にも過重な講演活動などを求められ自殺したという顛末です。社会的常識を欠いていなければ家庭を捨てて過酷な労働に打ち込むことは出来ません。しかしその理不尽な過重労働に長く続くわけがなくいよいよ限界点に達して燃え尽きて立ち去るのです。今も多くの勤務医が社会的常識を欠いたまま日夜奮闘しておりますが。



ネタ元:http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/080225/trl0802252124018-n1.htm
 
 
 
医師不足の解決法 (池田信夫)
2008-11-21 00:38:58
私が何度も「医師じゃなくて医師会」と書いてるのに、「誤解する」とか「生半可」とか、相手を見下してつっかかってくるのをみてると、前言をひるがえして、やっぱり「医師には常識の欠落している人が多い」といいたくなりますね。

この問題を解決する方法は簡単です。フリードマンが半世紀前に提案したように、医師免許を廃止して参入自由にすればいいのです。資格試験は残すが、無免許営業も許す。開業医ぐらいなら、薬屋がやってもいいでしょう。もちろん患者には免許の有無がわかるようにし、ローコスト・ハイリスクの無免許医か普通の医者か選べるようにするのです。
 
 
 
Unknown (猫研修医)
2008-11-21 00:39:06
東大医学部の卒業生の中での、臨床医の道を歩まずに、マッキンゼー・アンド・カンパニーに就職したり、医療政策系のシンクタンクに就職したりする、という流れは、ここ数年続いているものです。もともと厚生労働省の医系技官は慶応閥が圧倒的に強く、鉄門OBは数名しかいないはずです。三田会の医師から毎年1、2名が厚生労働省に入るように、毎年1、2名がそのような非医療系民間企業に就職していて、学生がその選択肢を一考に入れているのです。

医師免許には名称独占と業務独占はありますが、業務義務はありません。
学生が様々なキャリアパスを検討し、その中で臨床医以外の道を模索するのは、医師全体の労働流動性が高い現状を考えると、自然な流れと言えるでしょう。

医学生が研修先を自由に希望し、病院はより優秀な学生に内定を出し、競争によって初期研修医の配置を決める、という制度の中で、若い医者は就職活動を通じて自分のキャリアを考えるようになりました。一方で勝ち組病院と負け組み病院が明らかになり、人気のない病院は研修医から見向きもされなくなりました。若い労働力が入らないために過重労働に苦しむ中堅医師が辞め、指導者がいなくなったことでさらに病院が破綻していく、という流れが完成しつつあります。

ちなみに来年度、予定していた人数の研修医を集められず、二次募集をかけている病院のリストはこれです。
http://www.jrmp.jp/20senkoubi.pdf

都内で、大学病院でないのに、研修医を十分集められていない病院、というのがいくつかあります。
その中には、麻酔医を派遣していた医局と病院経営者の労働紛争が決裂し、麻酔医が撤退、これにより外科が撤退、さらに循環器の医師も撤退し、救急車で運ばれてきた患者は研修医だけで診るしかない、という病院もあります。
このような病院の情報は学生内でも大学を飛び越えてすばやく伝播するため、指導医無しで医療行為を行って、自分が訴えられるリスクを犯したくない、常識的な研修医が集まることはないでしょう。経営者が変わらねば再帰は不能でしょう。

致命的なのは、医師会が開業医の利権団体で、病院勤務の医師の声は入っておらず、マスコミは墨東区の公立病院をはじめ医師叩きに一生懸命で、中堅医師も最前線を離れはじめており、病院の医療の最前線を魅力ある職場にしよう、という動きがないことです。

この場合、ゲーム理論的なナッシュ均衡は、日本から救急・小児・産婦、そしてやがては内科・外科が消えることに落ち着きます。

多少なりとも医療政策に興味を持った医療者・医学生が、多くの時間をかけてたどり着く結論がこれに近いものです。

ある日突然、日本の医療が破綻し、すぐに対処すれば消えていった医療者が帰ってくる、というラッキーなシナリオではなく、あと10年ほどかけて一般人にも肌で感じるレベルで日本の医療は融解し、サププライム層の保険診療と、プライム層の自由診療、というイギリスのような構造が完成していくと思われます。

老害といえる医師会の重鎮や、池田先生が取材した医師のような人は現状を変える気はなく、現状を変えねばと考える中堅勤務医は、日々の業務に己の健康すら危うい。
若い医師は日本の保険診療が実質破綻して、自由診療が並立存在しても、食うに困らぬ分野を求めて医療に限らぬ職種を模索する。

若い視点からはそのような現状であるとお察し下さい。
 
 
 
業務独占の撤廃 (猫研修医)
2008-11-21 01:00:10
池田先生のおっしゃる業務独占の撤廃は極論ではありますが、医師国家試験の受験資格を緩和して、看護師で実務2年以上で可とするとか、歯科医師免許取得者に医師の業務独占を開放するとか、政治的に選択可能なカードと言えます。

今回のエントリーからは脱線が過ぎるので以上とします。

ただ、日本医師会というものが、かつての自民党政権の総理の親戚が作った、開業医の意見を代弁する、自民党の支持団体に過ぎず、医師の政治的主張を代弁しえない団体だ、というのが医者の一般認識だというのはご留意下さい。
そして勤務医の主張を代弁すると言える団体はまだありません。

日本医師会は故・橋本氏を代表とした自民党医療族の滅亡とともに、政治的な発言力をようやく失ったのです。
 
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