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マラリアが休戦ラインを越えてやってくる(中)

◆開城はマラリア危険地帯

 トラック運転手でソウルに住むBさん(45)は、昨年マラリアを発病し1週間入院した。Bさんは開城工業団地をトラックで行き来する仕事をしていた。診察と治療を担当した医師は、Bさんが開城でマラリアに感染したものとみている。マラリアは感染者の血を吸った蚊を媒介として伝染するからだ。

 とりわけ開城はマラリアの危険地域として知られている。実際に開城工業団地に常駐する派遣勤務者の感染実態は深刻なレベルだ。疾病管理本部が本紙に最初に明かした内容によると、開城工業団地が開設された最初の年である2005年には、490人の派遣勤務者のうち12人がマラリアに感染し、06年には791人中18人、07年は784人中11人が感染した。3年間における派遣勤務者数を10万人に換算して計算すると、発病患者数は3年で1984人にも達したことになる。

 これは韓国疾病管理本部が定める、マラリアの高危険地域基準となる「人口10万人に100人以上」のなんと20倍にも達する数値だ。

 それでも北朝鮮はマラリア感染の実態について正確な情報を公開しておらず、北朝鮮政権は2000年、「全国で30万人のマラリア患者が発生した」と発表したが、この数値を信じる専門家はいない。韓国の感染内科専門家は、当時の実際の患者数は100万人ほどで、その後も毎年10万人以上が発病していると推測している。第2次大戦後、世界の温帯国家でマラリアがこれほど大規模に発生しているのは北朝鮮だけだ。

李吉星(イ・ギルソン)記者

キム・ジンミョン記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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