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マラリアが休戦ラインを越えてやってくる(上)

 京畿道高陽市一山に住む主婦Aさん(34)は、今月13日から高熱と悪寒に悩まされ、自宅近くの病院で診察を受けた。風邪との診断を受け1日だけ薬を服用したが、熱は下がるどころか上がり続けた。その後Aさんは別の大きな病院に運ばれ、そこで受けた診断はマラリアだった。当時、Aさんの血小板の数は通常の10分の1のレベルにまで落ち込んでいた。Aさんは4日間入院して治療を受けた。

 Aさんの診察を担当した一山病院感染内科のホ・ジョンエ医師は、「2002年にこの病院に赴任して以来、毎年50人のマラリア患者の治療を行っている」と述べた。

 1984年に韓国から完全に根絶されたはずのマラリア。そのマラリアが93年に再びその姿を現した。京畿道坡州にある軍の敷地内で勤務していた兵士が発病したのだ。軍事境界線周辺だけに発生が限られていたマラリアは、その後京畿道抱川、金浦、高陽、仁川市江華などでも相次いで感染患者が発生し、徐々にその地域が南下してきた。

 98年にはついにソウルを含む全国16の地域で発生した。患者数も2004年に864人だったのが、05年には1369人、06年2051人、07年2227人へと増加を続けている。土着の感染症として定着しつつあるのだ。

 専門家は一旦根絶されたマラリアが再び姿を現して土着化していることについて、北朝鮮との交流が拡大しているのが決定的な原因として作用していると指摘する。

 北朝鮮は世界の温帯国の中でマラリアの発生件数が最も多い。とりわけ南北交流の中心である開城は、北朝鮮国内でも最も危険な地域だ。しかし、毎年数万人から数十万人が何の予備知識もなしに北朝鮮を訪問し、その後全国各地に散らばっているのだ。韓国政府は盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権当時、北朝鮮訪問者のマラリア感染の実態について公開していなかった。

李吉星(イ・ギルソン)記者

キム・ジンミョン記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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