【社説】性的暴行常習者、韓国でも厳罰を
京畿道高陽市一山で起きた小学生女児誘拐未遂事件の容疑者は12年前、当時9歳の女児を鉛筆削り用の小刀で脅し、マンションの屋上へ連れて行って髪の毛を切り、性的暴行を加えた前歴があった。また、5人の子どもたちに対し、口に出すのも憚られる、鬼畜のような罪を犯してもいた。その罪で刑務所に入り、10年間の服役を終え出所してからわずか2年で、またも同じ罪を犯そうとしたのだ。
2年前、ソウル市竜山区で女児に性的暴行を加えた末、殺害して遺体を燃やした男も性的暴行の前科があり、保護観察を受けていた。昨年済州島で女児を殺害した犯人、そして京畿道安養市でイ・ヘジンちゃん、ウ・イェスルちゃんを殺害した犯人も、性的暴行の常習犯だった。性的暴行の再犯率は70%に達し、また性的暴行で逮捕された容疑者10人のうち3人は前科5犯以上の常習犯だ。精神科の専門医たちは「幼い女児を性的欲求を満たすための道具だと考える“ペドフィリア(小児性愛)”は、治療がほとんど不可能な精神疾患に等しいものだ」と話している。
多くの先進国では、子どもに対する性的暴行の常習者に厳罰を科す法律を定め、子どもたちを守るための対策に乗り出している。米国では2005年、9歳の女児ジェシカちゃんが性的暴行の前科を持つ男に拉致され、性的暴行を受け殺害された。この事件をきっかけに、被害者の名を取った「ジェシカ法」が制定され、性的暴行犯は最短でも25年の懲役を科すとともに、出所後も再犯の可能性がなくなったという医学的な診断が下されるまで、電子腕輪(GPS〈全地球測位システム〉を利用した腕輪)を装着させることとした。
一方、韓国では性的暴行犯に対する包囲網はあまりにもお粗末なものだった。昨年、子どもに対する性的暴行で逮捕された702人のうち、起訴されたのは257人にとどまった。現行の「性的暴力犯罪の処罰および被害者の保護に関する法律」は、「13歳未満の子どもに対する強姦(ごうかん)罪は懲役5年以上の懲役、強制わいせつ罪は1年以上の懲役または500万‐3000万ウォン(約52万‐312万円)の罰金」と定めている。この量刑自体が軽い上に、裁判所は「改めて合意する」という名目で量刑を軽減し、執行猶予を付けて釈放するのが日常茶飯事だった。全国の裁判所で05年、1審で実刑判決を受けた性的暴行犯は全体の31.4%に過ぎず、執行猶予付きの判決を受けた被告が40.7%、罰金を科された被告も7.5%に上った。
性的暴行を受けた子どもは、心の傷に一生苦しめられることになる。そのため、性的暴行は「人の心を破壊する」悪質な犯罪とされている。韓国政府も1日も早く、「ヘジン・イェスル法」を制定し、性的暴行の常習者が大手を振って歩けない社会にしていくべきだ。
- 児童性犯罪:「ヘジン・イェスル法」制定へ 2008/04/02 16:25:02
- 児童性犯罪:韓国では半分が再犯(上) 2008/04/02 16:41:00
- 児童性犯罪:韓国では半分が再犯(中) 2008/04/02 16:41:29
- 児童性犯罪:韓国では半分が再犯(下) 2008/04/02 16:41:47
- 【社説】対北ビラ散布、ガス管理法で取り締まり!? 2008/11/20 08:56:59
- 【11月20日】北朝鮮向けビラ関連部署大集合
2008/11/20 07:49:13
- 【社説】金利は大統領の言うことを聞かない 2008/11/20 07:13:57
- 【コラム】防衛産業の輸出支援、優先順位を高めよ(下) 2008/11/19 17:00:37
- 【コラム】防衛産業の輸出支援、優先順位を高めよ(上)
2008/11/19 17:00:34
- 【記者手帳】ビラ散布、北の顔色うかがう韓国政府
2008/11/19 12:07:37
- 【社説】建設・造船危機が全産業に広がらないように 2008/11/19 10:18:38
- 【11月19日】人ごと?
2008/11/19 07:45:30
- 【社説】「寄付天使」に向けられた悪質批判 2008/11/19 07:10:33
- 【コラム】米国が日本車をたたかない理由(下)
2008/11/18 12:02:41