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テロ犯人は頭脳明晰“殺人狂”…30代「孤独男」の姿

犯罪心理の専門家が指摘

 厚生次官連続テロで、2つの事件とも家族全員の殺害を目的に、犯人が屋内に侵入していた疑いが強いことが20日、捜査当局の調べで分かった。また、さいたま市の殺害現場では事件前、30代の不審な男が目撃されていた。残忍な手口と執拗な殺意−。その犯人像について、犯罪心理の専門家は一様に、政治的思想を持たない独善的、かつ頭脳明晰な孤独な男の姿を指摘。難癖をつけて他人をなぶり殺すことを楽しむ「殺人狂」が浮かび上がってきた。

 今回の事件では、さいたま市の山口剛彦さん(66)宅で山口さん夫妻が殺害され、東京都中野区の吉原健二さん(76)宅では妻(72)が刺されて重傷を負った。

 被害現場となった2軒ともに、屋内の広範囲で血痕が付いた足跡が見つかっており、捜査当局では、物色の痕跡がないことから、家族全員の殺害を目的に人間が残っていないか確認していたとの見方を強めている。

 逃亡の際もそれぞれ現場から50メートルと100メートルにわたり、血の付いた足跡が複数発見。山口さん宅の足跡は1種類で、歩幅は1メートル以下だった。

 一方、山口さん宅の近所で、事件前の14、16の両日の夜、30代の男が目撃されていた。また、事件当日の午後5時51分、夫妻の携帯電話に互いの発着信記録が残っていたことも判明。山口さんの胃には食べ物がほぼ何もなく、夫妻のいずれかがスーパーから帰宅後、夕食の準備をしていた午後6時半ごろ、被害に遭ったとみられる。同じころ、近所住民が「わー」という男性の悲鳴を聞いていた。

 吉原さんの妻は病院に搬送される際、捜査員らに「30歳ぐらいで身長約160センチの中肉。野球帽をかぶっていた」と犯人の特徴を伝えており、さいたま市で目撃された男と極めて酷似している。

 山口さん夫妻の遺体の傷はいずれも心臓に達するほど深く、山口さんは正面に加え、背中も切りつけられていたことも分かった。吉原さんの妻の左胸の傷も肺まで達しており、犯人が強い殺意を持って執拗に襲ったとみられる。

 犯罪心理学に詳しい森武夫専修大名誉教授は「組織とは無関係の独りよがりな独身男」と分析する。「新たに分かった情報を総合しても、到底仲間がいたとは考えられない。30代の男がすでに引退した官僚を襲っていることから、動機としては親族の年金問題、あるいは出入り業者として厚生省に出入りした際の冷たい対応などが考えられるが、いずれにしても被害者と直接の利害関係はない。ゆがんだ義侠心にかられた犯行だ」

 ジャーナリストの大谷昭宏氏も「右翼など組織的犯行の可能性はほとんどなく単独犯。犯人は帰宅時間などを入念に下調べしたうえで犯行に及んでいおり、短絡的でゆがんだヒロイズムを抱いた執念深い男」と指摘。リスク覚悟で2度目の犯行に及んだことから、知能指数は高いものの、思いこみが激しい自己中心的な性格とみる。

 「定職を持ち普通に暮らしているが、社会への鬱憤を抱え続けているはず。厚労省の関係者とは考えにくく、恐らく被害者2人の名前は年金問題発覚後、多数出た文献などから知ったのだろう。世間に決定的インパクトを与えようと狙っている可能性が高い」(大谷氏)

 心理学者の日向野春総氏も「専門用語でいう『個人被害的中心性』に侵された孤独な独身男の犯行」と指摘。犯人の気質として「インターネットなどで相次ぐ厚労省批判に触発され、自分が経済的に大変な状況に追い込まれているのは厚労省、ひいては年金制度のせいと勝手に思いこんだ可能性がある。犯行自体は世直しといった発想ではなく、単に自分が困っている不満の刃を、強引なこじつけで被害者たちに向けただけで、すべての発想は自分中心」と説明する。

 続けて、「確実に住所を突き止めて、家族全員を殺害したかったという粘着性も極めて強い。間違いなく第3、第4の犯行を計画しているだろう」と警鐘を鳴らした。

ZAKZAK 2008/11/20

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