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【社会】

愛知県、たらい回し防止に新システム 受け入れ可否情報、救急隊補う

2008年11月20日 夕刊

 どの病院に救急患者を搬送できるかをネット上に示す救急隊の受け入れ可否情報を、救急隊員が携帯電話を使って補うシステムを愛知県が開発した。ネット情報は「多忙」を理由に多くの病院が更新していないため、実際に問い合わせた隊員たちが結果を入力して補完する。

 小牧市や西春日井広域事務組合などの消防本部が来春からの導入を検討しており、県は「患者に適した素早い搬送が可能になる」と期待している。

 愛知県とNTTデータが共同開発した。携帯電話のインターネット画面に病院側が入力している受け入れ可否情報を表示。ここに、各救急隊が入力する12時間以内の搬送履歴情報を提供する。

 隊員は現場から病院に電話。受け入れ可と言われたら「○」、不可は「×」を入力する。この履歴を参考にすることで他の救急隊はどこに搬送が集中しているか把握できる。

 7月に西三河南部医療圏(岡崎市、安城市など11市町)で実験し、5消防本部の全37救急隊に1台ずつ携帯電話を貸与。13日間に搬送した1144件のうち、1076件で入力があった。

 昨年、県内で受け入れ可否データを毎日更新していたのは、対象1300医療機関のうち150機関だけ。一度も更新していない施設が半数あった。こうした状況から、今回の実験で、隊員からは「他の消防本部の搬送状況を把握できる」「軽症なら、搬送が集中している病院より、少し遠くても別の病院に運ぶ配慮ができる」との意見が出た。

 「搬送した患者の症状の程度が分かるようにして」「ページを開くまでの手間を少なくしてほしい」などの要望もあり、来春までに改良する。

 県消防保安課は「多くの消防本部が加われば、情報の精度が高まる」と各自治体に導入を呼び掛けている。

 

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