佐賀市で昨年9月、知的障害者の安永健太さん=当時(25)=が警官に取り押さえられた直後に死亡した問題で、健太さんの父孝行さん(47)が19日、福岡市早良区の西南学院大学で講演。聴講した約30人の学生に「この事件を知り、知的障害者への理解も深めてほしい」と訴えた。
健太さんは自転車で走行中、信号停車中のバイクに衝突。挙動不審として警官に取り押さえられた直後に死亡した。孝行さんは今年1月、関係した警官を特別公務員暴行陵虐致死容疑で佐賀地検に告訴したが、不起訴処分となり、4月に職権で裁判を開くよう佐賀地裁に付審判請求した。支援団体が裁判開始を求めて約10万9000人分の署名を同地裁に提出している。
講演は、同大法学部の田村元彦准教授(政治学)による行政学の講義で行われた。孝行さんの活動を支援する弁護士と対談する形で進めた。孝行さんは当時の状況を説明しながら「誰でも障害者と分かるはず。なのに力ずくで制圧した」と警官の対応を批判。「当初は『バイクに衝突して逃げた』としながら、後では『逃げていない』と言うなど、警察の説明は次々に変わる。不満と怒りが募るばかりだ」と心情を打ち明けた。
=2008/11/20付 西日本新聞朝刊=