児童や生徒が携帯電話を通じて「ネットいじめ」や有害サイトで犯罪に巻き込まれるケースが増えていることから、福岡県芦屋町と町教委は町内の小、中学生に原則、携帯電話を持たせないように呼び掛ける「脱・携帯電話宣言」(仮称)を来年1月に出す方針を決めた。携帯電話の利点より、犯罪に巻き込まれる危険性を重視した。
小、中学生の携帯電話は、文部科学省が7月、各都道府県に学校現場での取り扱い方針の明確化を通達。各校は持ち込み禁止などで対応しているが、自治体が「持たせない」方針を打ち出すのは新潟県妙高市、石川県野々市町に次いで全国で3例目。九州では初めてという。
町教委によると、宣言に強制力はないが、学校やPTAなど地域で意識を高めて、子どもたちがトラブルに巻き込まれるのを防ぐのが狙い。携帯電話の所持を原則禁止した上で、例外として親の事情や通学、通塾などのやむを得ないケースも示すという。宣言文の内容や啓発方法は、学校単位や地域ごとに説明会を開き、中学生の意見も聴いた上で決める。
芦屋町には中学1校、小学3校があり、児童生徒の携帯電話所持率は小学生1‐2割、中学生5‐6割で、進学祝いや「みんなが持っているから」という理由で保護者から与えられたケースも少なくないという。
中島幸男教育長は「すぐに連絡が取れる携帯電話には、子どもを守るための利点もあるが、それ以上に犯罪に巻き込まれる危険性が高い。保護者に、子どもたちが置かれている現状を考えてほしい」と話している。
=2008/11/20付 西日本新聞朝刊=