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【コラム】クジラは本当に絶滅の危機にあるのか(下)

◆赤字でも捕鯨をあきらめない日本  

 だが、捕鯨国にとって有利なことばかりではない。現在、日本は研究目的でミンククジラを毎年700頭以上捕獲しているが、研究に使われたクジラのほとんどは食用として流通している。

 これに対し反捕鯨国は「日本が調査捕鯨という美名の下でクジラを捕獲している」と非難している。実際、オーストラリアの科学者たちは、クジラを殺さずに食物連鎖について研究する方法を考案している。だが、日本やノルウェーはこの方法が「検証されたものではない」として、調査捕鯨を続けている。国際環境団体「グリーンピース」のスティーブ・シェルホルン氏は「捕鯨に賛成するにせよ反対するにせよ、こうした研究が役に立つと信じている人は誰もいない」とし、調査捕鯨が商業捕鯨再開の道を開くための手段だと示唆している。

 日本は捕鯨を続けようとする理由について「わが国の伝統であるため、あきらめることはできない」と主張している。だが、統計に表われているデータは、こうした日本の主張を疑わせるものがある。朝日新聞が最近報じたところによると、日本人のクジラの消費は、80年代前半には一人当たり2.5キロだったが、現在は30グラムにまで減っている。このように、日本でクジラの需要は急速に減っており、研究目的で捕獲したクジラもほとんどは冷蔵庫に保管されている。また、日本の捕鯨事業は赤字が続いている、グリーンピースは先月20日、「日本政府は毎年、470万ドル(約4億8800万円)もの税金をつぎ込んで捕鯨を続けている」と発表した。

 それでも日本が、莫大(ばくだい)な費用をかけてまで捕鯨にこだわる理由は何なのだろうか…。英字新聞のジャパンタイムズ紙は昨年12月、「日本が捕鯨をあきらめない理由は、この問題が民族主義を刺激しているためだ。西洋諸国が捕鯨に反対しているため、日本はますます捕鯨をやめられなくなっている」と報じた。

◆「偽善とこだわりの対決」 

 イギリスの週刊紙エコノミストは2003年、捕鯨国と反捕鯨国の争いを「偽善とこだわりの対決」と報じた。捕鯨国の主張は「無用なこだわり」である一方、反捕鯨国の主張は「非合理的で偽善的」だというのだ。しかも過去5年間、こうした状況は何ら変わっていない。また、国立クジラ研究所のキム・チャングン所長は「現在、IWCでは話し合いが平行線をたどっている。“保存”と“利用”のはざまで、何一つできない機能不全の状態に陥っている」と主張している。

キム・ウソン記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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