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【コラム】クジラは本当に絶滅の危機にあるのか(中)

◆「捕鯨禁止はどこまでも政治的」 

 反捕鯨国は「商業捕鯨を再開すれば、クジラが絶滅する恐れがある」と主張し続けてきた。だが、果たしてクジラは絶滅の危機に瀕しているのだろうか。

 この質問に半分はうなずける気もするが、半分は違うような気もする。世界の海に生息するクジラは、イルカも含め、全部で77種類に上る。このうち、われわれがクジラと聞いて思い浮かべる大型のクジラは13種類に上るが、そのうちシロナガスクジラとホッキョククジラは絶滅の危機に瀕している。

 だが一方で、一部のクジラは数も多い。セミクジラは北太平洋だけで3万頭を超えると推定されている。また、ミンククジラの場合、国連食糧農業機関(FAO)の小松正之元水産委員長が「海のゴキブリ」と呼ぶほど、世界中の海域に多く生息している。

 捕鯨国はこのような個体数の多いクジラだけを捕獲するという主張をしている。クジラの保護で先頭に立ってきた世界自然保護基金(WWF)は「一部のクジラの場合、個体数がかつての水準にまで回復しているが、種の保存のための適切な措置を取らないまま捕鯨を再開することはできない」とコメントしたが、捕鯨国の主張もこれと同じだ。クジラの適切な管理を前提に、捕鯨を行おうというわけだ。

 IWCの科学委員会は1993年、「一部の海域ではミンククジラやナガスクジラなどの数が増えており、商業的な目的で捕獲しても個体数に悪影響を与えないと思われる」と発表した。同委員会は捕鯨について管理する制度も考案し、総会に提出した。ところが、IWCは科学委員会のこうした発表を受け入れなかった。これについて、当時の科学委員長だったフィリップ・ハーモンド氏は「現在の捕鯨禁止案は科学的な根拠がない、どこまでも政治的なものだ」と主張し辞任した。

 一方、クジラのために人間が捕獲できる魚の数が減っているという研究結果も発表されている。日本が87年から行ってきた「調査捕鯨」の結果、クジラはプランクトンやオキアミだけを食べているのではなく、サンマ、イワシ、サバなどを大量に捕食していることが明らかになった。90年代末には北太平洋海洋科学機関も『食物連鎖の頂点にいる動物の消費に関する報告書』で、「ノルウェー沿岸では16万頭のミンククジラが4カ月間に180トンもの餌を食べるが、このうちオキアミは50%で、残りはニシン、タラなど、人間が食用にする魚類だ」と発表した。

 韓国捕鯨再開推進協議会も昨年、「全世界でクジラが捕食する水産物の量は年間3億トンに上ると推定されるが、これは世界の総漁獲高(1億トン)の3倍に相当する。捕鯨の禁止が必ずしも海の環境を守るとは考えられない」と主張した。

キム・ウソン記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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