桜井淳所長から東大のN先生への原子炉規制法違反についての手紙-いくつかの組織が傾く情報の現実-
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ご無沙汰しております。こんな形でお手紙を差し上げなければならないのは、まことに、残念でなりませんが、現実に目をつむるわけにも行かないため、つらい現実について、語ることにいたしましょうか・・・。
原子力界に四半世紀も生息していれば(安解所の勤務まで含めれば30年)、関係省庁ばかりか、原子炉メーカーや電力会社の不正のメカニズム、原研・サイクル機構・東大原工施・京大炉等の日本を代表する原子力施設の不正や不祥事について把握でき、もし、私が、すべてを語ったならば、いくつかの組織が傾くようなことになるかも知れませんが、そこまで語らず、知り得る、ほんの二、三のことに留め、問題提起していることに、特別の配慮と信号の意味をお受け止めいただきたいと念願しています。
私は、これまでの業務・研究の過程の中で、
(1)東大原工施の数件の原子炉規制法違反の内容を把握していました、
(2)原研の原子炉・臨界集合体の百数件の原子炉規制法違反の内容を把握していました、
(3)原研企画室長と監督官庁原研担当官僚との不適切な関係(逮捕対象の犯罪)の内容を把握していました、
(4)原子力発電所における十数件のスクラム未報告等の原子炉規制法違反の内容を把握していました、
(5)その他、原子炉メーカや電力会社の不正の事実を把握していました、
しかし、多忙のため、また、すべてを語るのは、品のないことと認識し、沈黙してきましたが、最近の耐震安全評価等を巡り、日本の安全規制が怪しくなってきた昨今、曖昧な言葉で語ることに罪悪感を感じるようになりました。私が知り得るすべてを語ったならば、少なくとも、複数の組織が傾くか潰れることになるでしょう。それでも、ぎりぎりの内角直球を投げ続けなければなりません。どうか、そんな辛さを察してください。
原研の原子炉規制法違反については、すべてを把握していたため、原研東海の幹部に手紙を書き、「時間をかけてなくしていくように指導していただきたい」とお願いする手紙を送り、問題を荒立てず、「ソフトランディングが可能な方法を模索していただけるよう」にお願いしました。
数年前に発覚したふたつの臨界集合体の原子炉規制法違反の内容から推察するに、ソフトランディグ対策の数年後の摘発になっており、実際の数分の一の原子炉規制法違反数になっていました。特に、文部科学省が、意識的に、政治的に問題の骨抜きを図ったことことを知りました。それは、原子炉規制法で記録の保存期間の10年間を摘発対象にしたことであり、もし、15年まで遡れば、確実に、摘発された数の数倍になっており、文部科学省は、それを知っていたものと推察されます。貴施設におかれましては社会的な信用を損なわないような社会的対応をされることを願ってやみません。
桜井淳