沖縄市の泡瀬(あわせ)干潟埋め立て事業で貴重な自然が破壊されるとして、県民約580人が沖縄県と市を相手に事業を巡る公金支出差し止めと、既に支出した約20億円の損害賠償請求をするよう知事に求めた「泡瀬干潟自然の権利訴訟」の判決が19日、那覇地裁であった。田中健治裁判長は「現時点で事業の経済的合理性を欠いている」として、県と市に将来分などの事業費の支出差し止めを命じた。賠償請求などは退けたが、県や市に事業の大幅な見直しを迫った。
判決は住民側の実質勝訴となった。泡瀬干潟埋め立て事業は国と県が泡瀬沖約200メートルの海域約187ヘクタールを埋め立て、県が約127ヘクタールを買い取って土地を造成。その後沖縄市が約90ヘクタールを購入し、ホテルや観光商業施設などを誘致する計画。埋め立て事業費は約489億円。02年10月に着工した。現在、1期工事(約96ヘクタール)の外周護岸がほぼ完成し、年度内に埋め立てに着手する。
判決は、沖縄市の東門美津子市長が昨年12月、1期工事分の土地利用計画の見直しと2期工事は計画撤回を含めて見直すと表明した経過を重視。「沖縄市の具体的な土地利用計画は何ら明らかでなく、そうである以上、県の埋め立て事業についても経済的合理性を認めることはできない」とした。
ただ、県の過去の支出差し止め請求については「訴えの利益を欠く」として却下し、判決確定後の将来分のみを認めた。
原告は05年5月に提訴した。【三森輝久】
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■ことば
沖縄市にある広さ約266ヘクタールの干潟で、南西諸島の中では最大級。国の天然記念物4種を含む希少生物が生息し、ジュゴンやアオウミガメの餌場になっているほか、沖縄本島で最多の125種類の鳥類が確認されている。
毎日新聞 2008年11月19日 東京夕刊