外来管理加算、緊急対応は見送り
厚生労働省は11月19日、中央社会保険医療協議会(中医協、会長=遠藤久夫・学習院大経済学部教授)の総会に、初・再診料やこれらへの加算など「基本診療料」をめぐる今後の議論の進め方に関する案を提示し、了承された。診療報酬改定結果検証部会などによる調査結果の集計時期を踏まえ、次の改定に向けて基本問題小委員会でその都度、検討を進めるなどの内容で、検討対象については、外来管理加算に限定せず、基本診療料全体を取り扱うことになった。診療側は「外来管理加算の要件見直しで、診療所に想定以上の減収が生じている」などと述べ、次の改定を待たずに緊急に対応するよう主張したが、受け入れられなかった。
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外来管理加算の要件見直しによる影響は、検証部会で年度内に調査することが決まっているが、総会で厚労省側は、部会の調査結果だけでなく、医療費全体の状況を示すデータを活用して議論を進める考えを示した。
初・再診料や外来管理加算など基本診療料をめぐっては、今年4月の改定に向けた議論の過程で、診療所の再診料引き下げを見合わせる一方、診療所や200床以下の中小病院が再診料に上乗せする外来管理加算の要件として、新たに「おおむね5分以上」の診察(5分要件)を加えることで決着。基本診療料の在り方をあらためて検討し、次回以降の改定に反映させることになっていた。
しかし、診療側の藤原淳委員(日本医師会常任理事)は5日の総会で、「外来管理加算の見直しで、想定以上に算定が困難になっている」と主張。日医が12月にまとめる緊急調査の結果を踏まえ、次の改定を待たずに対応するよう要求していた。
19日の総会でも、竹嶋康弘委員(日医副会長)が、外来管理加算の見直しによる影響額が当初予想(240億円)を大幅に上回る約744億円になる見通しだと強調。また、今年度予算編成の過程で決まった健保組合による政管健保の国庫負担肩代わりの関連法案成立の見通しが立たなくなったことから、「勤務医対策のために各側が痛みを分かち合うという前提が崩れた。緊急に要件を見直してほしい」とあらためて主張した。
これに対し、支払側の対馬忠明委員(健保連専務理事)は、健保組合による肩代わり措置について、「外来管理加算とバーターだったような言い方をされるが、よく分からない」「バーターなどというのは全く念頭にもない。誤解も甚だしい」と述べ、日医の主張に反論した。
最終的に、遠藤会長が「(外来管理加算については)実際のデータが出てきた段階で、(基本診療料)全体の中で議論させていただく」と引き取った。
更新:2008/11/19 18:07 キャリアブレイン
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