岡山放送局

2008年11月18日 19時58分更新

遺族厚生年金訴訟 原告勝訴

夫からの暴力が原因で別居した岡山市の女性が、別居中に夫から生活費を受け取っていなかったことを理由に夫の死後、遺族厚生年金を受け取れなかったのは不当だと訴えていた裁判で、岡山地方裁判所は18日、女性の訴えを認め、国に支払いを命じる判決を言い渡しました。

訴えを起こしていたのは岡山市に住む韓国人の女性です。

訴えによりますと、この女性は夫の暴力から逃れるため別居し夫から生活費を受け取っていなかったために、夫の死後、社会保険事務所から「生計を同じくしていた」という年金の支給条件に当てはまらないと認定されて遺族厚生年金を受け取れず、国に年金の支払いを求めていたものです。

18日の判決で岡山地方裁判所の近下秀明裁判長は「別居中にも夫は生活費を支払うべきであったのに、これを拒否し続けたのは著しく不当だ」と指摘しました。

そのうえで、「現実に生活費が支払われていなくても、生計を同じくしていたと考えるべき場合がある」として国に対し遺族厚生年金の支払いを命じる判決を言い渡しました。

弁護団では夫から暴力を受けた女性の多くが同じような状況に直面するおそれがあるとして、来月はじめにも厚生労働省に、制度そのものの見直しを求める申し入れをする予定だということです。