なぜ「KIKO」は韓国で売れたのか
通貨オプション商品「KIKO(ノックイン・ノックアウト)」は外資系銀行が設計し、韓国にやって来た「輸入金融商品」だ。他国ではそうでもないが、韓国では人気を呼んだ。それはなぜだろうか。
KIKOは2005年ごろ、米国系のシティバンクが設計、韓国で初めて紹介されたといわれている。初期にKIKOに加入した企業は、商品設計通り実際にウォン高ドル安になったことから為替差益を得た。それ以降、KIKOは為替ヘッジ商品として知られるようになった。
昨年からは外資系A銀行や韓国の複数の銀行が競い合うようにKIKO関連商品を発売、当時の外為市場の状況と相まって、契約は急増した。
07年当時のレートはウォン高が進み、国内外を問わずほとんどの外為専門家がさらにウォン高になると予想していた。製品を売る際、為替差損で損をする中小輸出業者としては為替ヘッジに死活を賭けるしかなかった一方、手数料が入る銀行にとってはリスクゼロの収入源だった。
金融業界のある人物は「10億ウォン(約7500万円)でKIKOを設計するプログラムを買い、コピーして売れば、黙っていても手数料として毎月10億ウォンがもうかるのだから、これを嫌がる銀行はない」と話す。
一方、銀行の不十分な説明による販売や、銀行・中小企業間の不平等な契約関係も、KIKO加入増加に貢献した。銀行はこの金融商品を売る際、リスクについてきちんと伝えなかったり、(通常0.5‐2%程度の手数料を支払う)先物為替とは違い、手数料や証拠金なし、つまり事実上「無料」で為替ヘッジするかのようにセールスしていた。このため中小企業としては、魅力的な為替ヘッジ商品にしか見えなかっただろう。
しかも、銀行が直接KIKO加入を強要したケースもあったという。チョン・ソクヒョン為替ヘッジ被害企業共同対策委員長は6日、企画財政部の国政監査証人として出席し、「銀行側は融資期限が来る時期にKIKOを勧め、これに加入すると期限を延長するケースもあった。さらにはKIKOに加入した企業財務チーム関係者らを海外旅行に連れて行き、販促に力を入れていた」と語った。
これに対し、都市銀行の関係者は「“ほかの銀行ではKIKOを売っているのに、どうして(この銀行では)売らないのか”という声も多かった。当時のレート予想を念頭に金融商品を売ったに過ぎない」と反発している。
また、海外の投資資本が、海外の銀行と共に意図的にKIKOの販売をあおったという声も出ている。
ハンナラ党の高承徳(コ・スンドク)議員は「韓国外為市場は規模が小さいため、いつでも投機筋のマネーゲームの場になる可能性がある。KIKOショックの背景には投機筋が介入している可能性も否めない」と主張している。
全洙竜(チョン・スヨン)記者
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