― 観客のノリも良かったように感じたんだけど。
森島 スコットランドの移民が多いから、スコットランドが有利だったんです。だから、最初はブーイングとかありましたけど、僕らが点を決めてからは、なにか変わりましたね。日本もやるじゃん…って感じになって。ずっと同じ町にいたんですけど、狭い町だったので、みんなが声をかけてくれて。とってもいいところでした。
― スコットランド戦までに10日間程度の準備期間だったんですが、かなり順調に仕上がったんだよね。
森島 練習の内容はダメですよ。やっている内容は。でも雰囲気は良いんです。監督の言葉で奮起するというか。紅白戦でもサブチームにやられてしまったりすると、ヤッコさんは「サブチームがいいなあ」とか「スタメンを変えよう」とか、そういうことを言うんです。僕ら、言われてから奮起するみたいなところがあったんです。ホンマに調子ノリ軍団でしたね。みんな目立ちたがり屋でしたし、自分もそうですし、ニュースとかに出たかったし、だからみんな大舞台に強かったんです。
― 香川くんも、1戦目、2戦目を見ながら、俺もやってやろう、って気になったでしょ?
香川 そうですね。一個上の人たちは、みんなすごいなと思います。明るいし、目立ちたがり屋だし。本当に、みんな貪欲やなあ…って思っていました。(笑)
― そんなにクールに言ってないで、もっと行かなくちゃ。
香川 そうですよね。これを自分の年代に繋げていきたいと思っています。俺はもう一度ワールドユースに出られますからね。
森島 そうやね。僕らの悪いところは受け流してもらって。でも、真司たちにも刺激があったと思うから、次のワールドユースでも、こういう風に調子に乗ってやっていって欲しいですよね。そして、僕らよりもいい結果を残して欲しいですよね。キャプテンになるかどうかはわからないけど、真司は絶対に核になる存在じゃないですか。だから、率先して。
― 率先して悪ノリを!(笑)
香川 悪ノリっすか!(笑)一個上の人たちに負けないように、どんどん試合に出ていきたいですね。
森島 でも、俺らは監督がああいう人だから出来たような気がするな。ヤッコさんは、僕らの個性を見て縛らなかったのかも知れません。「お前らはもうプロなんだから」っていつも言ってくれていたし。すごく僕らのことを尊重してくれていたんですよね。だから、ヤッコさんに出会ってから僕が思う監督の理想ってヤッコさんなんです。ああいう監督の下だと、みんな力を出せるんじゃないでしょうか。もし、ヤッコさんがJリーグチームの監督になったら、そのチームに行きたいってみんな言っていましたよ。
============================
― 選手では、アジア予選でもサブだった桐畑選手を称える選手が多いんです。
森島 あの精神力はすごかったんですよ。
― そうなんだ。ちなみに、桐畑選手は誰と同室だったの?
香川 一人部屋でした。
森島 俺と武田が同室だったんだけど、キリと3人でいつも一緒にいました。キリは「頑張れよ」って言ってくれるんですけど、俺は悔しいんだけど「頑張れよ」って感じじゃないんです。自分の悔しさを全然出さないんですよ。シュート練習にしても、「俺はシュート練習のために来てるんちゃうか」って思っているかも知れないけど、そういうのも口に出さないで一生懸命やってくれるから。逆に「勝ったら勝利給が入るから、お前ら頑張れよな!」くらいのギャグを言ってくれるし、すごく盛り上げてくれたので、ものすごく良かったです。メンタル面でも助かったんですよ。 |