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医師の研修短縮「医療過誤招く」が約7割

 医師の臨床研修の短縮を厚生労働省と文部科学省が検討していることについて、全日本民主医療機関連合会(全日本民医連)は11月18日までに、2年目以降の研修医と指導医を対象に実施した緊急アンケート(速報値)を発表した。全体の68%が、研修期間の短縮が「医療過誤につながる」と考えていることが明らかになっており、全日本民医連では、「臨床研修制度は、幅広い基礎的臨床能力を持つ医師を育てることが目的であり、国は研修医や指導医の意見を抜きにした性急な議論を進めている」と批判している。

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 同制度について、厚労省と文科省は今年9月から合同で「臨床研修制度のあり方等に関する検討会」を開き、初期研修を現行の2年から1年に短縮する方向で、年内にも見直し案をまとめることにしている。その妥当性を検討する目的で、全日本民医連が緊急アンケートを実施し、2年目以降の研修医81人と指導医118人が回答した。

 その結果、「2年間の初期研修が1年間に短縮した場合、初期研修の目標に到達できるか」との問いに対し、「困難」が139人(69%)、「かなり無理がある」が38人(18%)と、9割近くが研修期間の短縮に否定的な見解を示した。また、「2年目以降に単独診療を行うことで医療過誤が起きるか」については、「間違いなく起こすと思う」が40人(20%)、「高い確率で起こすと思う」が97人(48%)と、約7割が研修期間の短縮で医療の質や安全性が低下するとみていることが明らかになった。

 さらに、「2年目以降に主治医としての業務が担えるか」については、「困難」が23人(12%)、「かなり無理がある」が75人(37%)と、ほぼ半数が1年間の研修期間では不十分と考えていることが分かった。このほか、「研修期間の短縮が医師不足の解消に役立つか」との質問には、「全く意味がない」が118人(58%)、「あまり意味がない」が49人(25%)と、8割超が研修制度の見直しと医師不足の解消とは別問題と考えていることも分かった。

 全日本民医連では、「国は『臨床研修制度が医師不足の原因』との認識を示しているが、医師不足や、それに伴う医療崩壊の根本的な原因は、これまでの低医療費政策と医学部定員の削減による医師数抑制政策にある。場当たり的な対策ではなく、医療費を増やし、医療供給体制を充実させるための医師増員を図るべき」と訴えている。



更新:2008/11/18 18:59   キャリアブレイン

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