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抗体でインフルエンザ予防 |
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懸念される新型インフルエンザの大流行。ウイルスは主に、せきなどで出る飛沫で感染するため予防にはマスクが効果的だ。しかし、普通のマスクではウイルスが通り抜けてしまう恐れがあり、医療用で高性能のN95マスクでは呼吸が苦しい。 そこで塚本康浩京都府立大教授(動物衛生学)らが開発したのが、ウイルスを発見すると捕まえて、活動を止めてしまう働きを持つ「抗体」を染み込ませたマスク。どんな動物の抗体でも効果は期待できるが、塚本教授らはダチョウの卵黄を選んだ。 塚本教授らは、既に人で流行しているH3N2型などのウイルスや、新型インフルエンザに変異する恐れが指摘されている鳥インフルエンザウイルス(H5N1型)などを不活性化させる抗体をつくり、マスクのフィルターに染み込ませた。 フィルターをウイルスの培養液に浸した直後に、人と同じ型のウイルス受容体を持つ犬の細胞にくっつける実験を行ったところ、細胞は感染しなかった。フィルターの抗体に接触後、すぐに不活性化したとみられる。 H5N1型のインフルエンザに感染させたニワトリのひなを箱に入れ、その周囲で正常なひな18羽を飼育する実験も実施。箱を抗体なしのフィルターで覆った場合、3日間で半数の9羽が死んだが、抗体を含むフィルターで覆うと1羽も死ななかった。塚本教授は「マスクの効果は素早く確実だ」と話す。 抗体マスクは、ベンチャー企業のクロシード(福岡県飯塚市)がN95と同レベルの医療用と、一般用の製品を既に発売済み。さらに今秋には、N95よりフィルターの目を粗くし呼吸しやすいようにした、二つの中間に位置する医療用の新製品を発売する。 原則として1日1枚の使い捨て。一般用は一箱36枚入りで7560円。医療用は従来品が20枚入りで5880円。新タイプが同6720円。問い合わせは同社、電話0948(29)1761。(2008/08/26) +font> |