新型インフルエンザが大流行した場合、4人に1人が感染し、約200万人が入院すると、政府は想定している。
押し寄せる患者に備え、医療機関は通常の外来とは別に感染の拡大を防ぐために病床を置く「発熱外来」を設置する。同時に求められるのが、重篤な患者を救うための人工呼吸器の整備だ。
新型に変異すると予想されている強毒性鳥インフルエンザH5N1型ウイルスに感染した患者は、死に至る恐れがある重い肺炎を起こすことがある。厚生労働省は、発生から5週目に感染が最も拡大すると予測。人工呼吸器が必要となる重症患者は1日当たり約10万1000人と想定している。厚労省は人工呼吸器の数を把握するため、都道府県に調査を要請しているが、現状では不足するのは必至とみられる。
それに加え、専門家の間で感染者数の想定は甘いという声があり、政府は見直し作業に着手。厚労省の新型インフルエンザ専門家会議では「人工呼吸器が不足すると、重症度に応じて患者の呼吸器を外す判断が迫られるという倫理的問題が生じる」との意見が出された。このため、政府は今年度補正予算で約20億円を計上、全国に人工呼吸器1800台を配備することにした。群馬県も国の助成を受け、県内の主要8医療機関に各1台配備することを決めた。
ただ、人工呼吸器があっても、操作が複雑で使いこなす医師が不足する恐れもある。同県感染症危機管理室は「医療機関が普段から使っている機種に合わせ、混乱が起きないように注意したい」としている。【関東晋慈】
毎日新聞 2008年11月18日 東京朝刊
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