はねた被害者をそのまま引きずって逃げ死なせる事件が大阪府内で続いた矢先、警視庁の警視が酒に酔って車を運転、当て逃げする事件が起きた。引きずり事件も容疑者が飲酒していたと供述している。重大事件になりかねない飲酒運転を、現職の幹部警察官がしたことに、怒りの声があがった。
茨城県警稲敷署によると、道交法違反(酒酔い運転)の疑いで現行犯逮捕された警視庁警視の日高幸二容疑者(50)は、事故後、駆けつけた警察官に名前と職業を尋ねられたが、当初は黙り込んで返事を拒んでいた。運転免許証の提示には応じたため、身元がわかったが、飲酒場所や一緒に飲んだ人などはいっさい答えなかったという。
事件現場は緩やかな左カーブ。当て逃げされた被害者は信号のない交差点を右に曲がろうとしていた。
警視庁によると、日高容疑者は事故当日、警視庁総務部施設課のレクリエーションに参加し、茨城県内のキャンプ場でバーベキューをしていて飲酒したという。宿泊の予定だったが、急用が出来て帰宅する途中だったという。
茨城県警幹部は、「大阪で飲酒運転によるとされる引きずり死亡事故が相次いでいるさなかなのに、残念でならない。暮れの飲酒運転取り締まりを間近に控えたこの時期、市民にしめしがつかない」と話している。
佐藤勉・国家公安委員長は18日、閣議後の記者会見で「警察官がこんなことをするとは言語道断だ。厳正に対処する。わからないくらいの憤りを感じる」と語った。
「飲酒・ひき逃げ事犯に厳罰を求める遺族・関係者全国連絡協議会」共同代表の佐藤悦子さん(57)は、「まさか警察官が飲酒運転なんて想像すらしなかった」と声を震わせた。毎年春に署名を法務大臣に提出しているが、今月、はねた人を引きずり死なせる事件が続いたことを受けて、前倒しで提出することを検討していたときだった。「一体、何のために署名を集めてきたのか」と怒りをあらわにした。