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つくばの長男殺害:母に猶予判決 地裁「育児に不安、同情できる」 /茨城

 生後14日の長男を殺害したとして、殺人罪に問われたつくば市吾妻2、無職、山本潤子被告(37)に対し、水戸地裁(鈴嶋晋一裁判長)は17日、懲役3年、執行猶予3年(求刑5年)を言い渡した。鈴嶋裁判長は「生後間もない乳児を確定的な殺意を持って殺害したのは悪質だが、母親に虐待を受けた経験や腰の持病から育児に強い不安を抱いており、同情できる」などと執行猶予の理由を述べた。

 弁護側は心神耗弱を主張したが、鈴嶋裁判長は「精神科病院への通院歴がなく、犯行当時も家事や育児をするなど完全責任能力があった」と退けた。

 判決によると、山本被告は6月15日午前10時半ごろ、自宅浴室で、長男潤一ちゃんを水を張った浴槽内に沈めておぼれさせ殺害した。

 ◇持病で激しい痛み、幼児期に虐待の経験--孤立した被告

 ピンクの長そでのシャツに紺のジャージー姿で310号法廷に現れた山本被告は、執行猶予付きの判決に表情を変えず、体を動かすこともなく聴き入った。肩まで伸びたストレートの髪に手をやることもなかった。

 判決などによると、山本被告は前夫と離婚後、小学生の長女を前夫に引き取られた。昨年、つくば市内の大学で事務員をしている夫と再婚し、2人暮らしを始めた。思いがけず妊娠した。首や腰に持病があることから出産を望まなかったが、夫の強い勧めで出産した。激しい痛みに耐えて育児をしていたという。

 育児に不安を抱える理由はもう一つあった。山本被告は「5歳から7歳の時、母親に包丁を持って追い回されたことがある」と法廷で弁護側の被告人質問に答えていた。

 夫は「家に戻して更生させる」と約束した。鈴嶋裁判長は言い渡しの後「自殺などせず、しっかり罪を償ってほしい」と諭した。

    ◇

 育児をする母親が孤立し、追い詰められる悲劇を防ごうと、つくば市は育児相談窓口を設け、昨年1年間で電話を含め1239件の相談を受けた。保育所や子育てをサポートする機関の紹介などもしているという。同市子育て支援室によると、山本被告からの相談はなかったという。【秋田浩平】

毎日新聞 2008年11月18日 地方版

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