神奈川県教育委員会は28日、県立神田高(同県平塚市、渕野辰雄校長、生徒数347人)の05、06、08年度入試で、試験の成績が合格基準に達していながら、「つめが長い」「スカートが短い」など服装や態度を理由に計22人を不合格としていたと発表した。県教委は「不正な選考だった」とし、希望者に対して入学や編入などの対応を検討している。=一部地区既報
県教委によると、同校は05年度入試で、願書提出や受験時に「著しく目立つ点」がある受験生をチェックするよう当時の校長が指示、教諭らが用紙に受験番号や名前とともに「問題点」を記入した。試験結果が出た後、特に問題点が多い受験生については「入学後の指導が困難」と判断し、05、06年度に6人ずつ、08年度は10人を不合格とした。男女別は「調べることができない」として明らかにしていない。
今年7月に県の内部通報制度で「不正な選考が行われていた」との指摘があり、県教委が8月から調査。問題点の記入内容は「態度が悪い」「服装がだらしない」から「髪染めの跡」「ピアス」にまで及んでいた。
同県の県立高入試の選考基準では、調査票と学力検査などを点数化して合否を判定。いずれも服装や態度は対象にしていない。
28日に記者会見した渕野校長は「基準を逸脱して大変申し訳ない」と陳謝。同校は中退者が年間100人以上の「課題校」とされ「教師の指示に従わない生徒が多く、まじめな子を取りたい思いだけだった」と釈明した。山本正人県教育長は「より良い学校にしたいとの思いは理解できるが、選考基準と違うルールでやったのはまずかった」と述べた。
県教委は関係者の処分を検討。全県立高146校の過去5年の入試について同様の問題がなかったか調査する。【五味香織】
毎日新聞 2008年10月29日 東京夕刊