麻生太郎首相と民主党の小沢一郎代表が2008年度第2次補正予算案の処理などを巡り会談した。小沢氏は第2次補正予算案を今国会に提出するよう求めたが、首相は「今国会提出を考えないわけではないが、いつ提出できるか明快に答えられない」と述べるにとどめた。
首相は総額2兆円規模の定額給付金支給などを柱とする追加経済対策をまとめた際に「政策を実現して国民の生活不安にこたえることが優先順位の1番だと思う」と強調して、衆院解散を先送りした。にもかかわらず今国会に2次補正予算案を提出しないのでは筋が通らない。
麻生政権は定額給付金に所得制限を設けるかどうかを巡って閣内の意見が割れ、迷走した。野党側が攻勢を強めたため、与党内では30日に会期末を迎える今国会を閉じたうえで、来年1月上旬にも次期通常国会を召集して、2次補正予算案を冒頭処理する案が浮上していた。
私たちは定額給付金の景気浮揚効果などに疑問を投げかけてきた。それでも中小企業向けの信用保証や政府系金融機関による緊急融資の枠拡大などを盛り込む予定の2次補正予算案は、早期に成立させる必要があると判断している。
2次補正予算案の処理に手間取ると、2009年度予算案の審議にも悪影響が及ぶ恐れがある。
一方、インド洋給油延長法案や金融機能強化法改正案の採決を人質に取る形で、2次補正の提出を迫る小沢民主党の姿勢も問題が多い。
参院外交防衛委員会では18日に給油延長法案を採決することで与野党が合意していた。しかし小沢氏は党首会談で給油法案の採決について「考えざるを得ない」と述べ、拒否する考えをにじませた。
党首会談を受けて民主党は給油法案などの採決を引き延ばす構えをみせている。早期解散に追い込む狙いがあるとはいえ、これではテロ対策や金融危機を政争の具にしていると批判されても仕方があるまい。
首相は速やかに2次補正を提出し、民主党は当初方針通り会期内に給油延長法案や金融機能強化法改正案が成立するよう協力すべき局面である。首相と小沢氏の双方に「政局より政策」と呼びかけたい。