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2008年11月18日

◎GDPマイナス 北陸も雇用悪化が顕著に

 七―九月期のGDP(国内総生産)速報値のマイナスは、想定通りだったとはいえ、ど こまで景気が落ち込むのか、底の見えぬ不安は高まるばかりだ。北陸では他地域に比べて好調だった有効求人倍率が四年三カ月ぶりに一倍の大台を割り、雇用情勢の悪化が顕著になってきた。

 雇用の悪化や給与所得の減少は、個人消費を冷やす最大の要因になる。企業が人件費や 設備投資などをできるだけ減らそうとするのは、個々としては合理的な行為でも、多くが同じ行動を取れば、景気はますます悪くなってしまう。この「合成の誤謬(ごびゅう)」のワナにはまらぬようにするには、比較的体力のある企業や不況にあまり左右されない企業が、新規投資をしたり、雇用を増やすことである。比較的元気な企業は必要以上に萎縮することなく、不況をチャンスと考え、積極策に打って出る発想の転換を求めたい。

 日銀金沢支店によると、北陸三県の九月の有効求人倍率は、〇・九八倍にとどまった。 全国平均の〇・八四倍に比べれば高い水準にあるが、一倍を割ったショックは大きい。県別で見ると、石川県は一・〇七倍とかろうじて一倍台を確保したが、富山県は〇・八三倍と全国平均すら下回った。

 原材料価格の上昇は円高で相殺されるとはいえ、輸出には明らかにマイナスに作用する 。世界的な景気後退で需要そのものが減っており、外需に期待できない。十―十二月期のGDPは、おそらく目も当てられぬ数字になるのではないか。

 日本企業はバブル経済の崩壊以降、過剰設備と過剰人員に苦しみ、長い年月をかけてリ ストラに取り組んできた。ようやく設備投資が上向いて、不況から脱したが、景気回復の実感を得ぬうちに世界同時不況の荒波に巻き込まれようとしている。

 日本経済が不況からはい上がるには、外需だけでは無理である。内需拡大を軸に消費を テコ入れし、経済のパイを大きくしていく。官民が一体となって、家計所得を減らさぬよう努力し、個人消費の落ち込みを最小限に抑え、増やしていくことである。そのための努力を惜しんではならない。

◎6年目の能登空港 胸突き八丁を越えたい

 六年目に入った能登空港羽田便の利用が伸び悩んでいる。石川県の調査によると、七月 七日から十月末までの利用者は五万六百八十二人(搭乗率65・3%)で、昨年と一昨年同期を下回った。心強いことに、首都圏からの利用者は伸びているのだが、ここへきて地元の利用が低迷し、搭乗率に占める地元利用率は22・1%にまで落ち込んでいるのだ。

 地元の利用が開港以来、下降線を描き続けていることに危機感を抱き、能登の県議や市 町議でつくる能登空港利用促進議連がこの二十五日に初の活性化セミナーを開くが、今が胸突き八丁だと受け止めて乗り切り策をひねり出してほしい。

 全日空と取り交わしている保証制度では、年間の目標搭乗率を62%とし、それが66 %を超えると全日空が地元に販売協力費を払い、58%を切ると地元が全日空に保証金を出すことになっている。年間の利用者が十六万人弱で目標搭乗率をクリアできる。能登空港を利用するエリア(珠洲市から宝達志水町までの四市五町)の二十歳以上の人口は約十八万人だから、地元の人々が年に一回往復利用すれば目標が達成できるわけで、地元の利用が肝心だ。

 もちろん、順調に伸びてきた首都圏からの利用をさらに押し上げたい。これについては 「天井に来ている」との弱気の見方と、反対に首都圏では能登に空港があることへの認知度が低いため知ってもらう努力を継続すれば、まだまだ伸びるとの強気の見方がある。

 首都圏は何と言っても人口が多いのだから、弱気にならず、ときには荒々しく、ときに はすがすがしい風景を見せる能登を楽しみ、その足で金沢や加賀の温泉、あるいは高岡や富山をめぐり、小松空港や富山空港から帰るといったメニューを増やすことも考えたい。

 能登をはじめ北陸には民謡などの伝統芸能や民話が多い。これらを観光客のもてなしに 活用するためガイドの強化も必要だろう。観光客がめぐった先々で買い求めた味覚や伝統工芸品などを宅配便で届ける行き届いたサービスも定着させたい。


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