|
今回の「金融サミット」は、世界の基軸通貨がドルのままでいいのか否かの、せめぎ合いの場でもあった 仏大統領は「もはやドルの時代ではない」とユーロの力をアピールした。米国のドルを援護したのは日本である。IMF(国際通貨基金)への1千億ドル拠出が大きい。欧州各国は、口は出しても金は出したくないようで、拠出には歯切れが悪い 時代小説家の山田風太郎さんに「世界の加賀百万石へ」というエッセーがある。徳川幕府を米国に、加賀藩を日本に例えている。日本は米国の同盟国だが、過去には対立した外様であり、欧州などの譜代とは違う 日米間のバランスは時々変化するが、徹底した親米一辺倒も、逆の反米路線も現実的ではない。親米が基本であるなら、幕府に背かず資金も出して、共存の道を歩む「百万石路線」がいいというわけだ 本紙「加賀藩の風景」で見た江戸城天守台の大石垣を思い出す。加賀藩は巨額な資金提供で存在感を示したらしいが、幕府が困るたびに財布代わりとなった外様の苦労が、21世紀の金融危機で期待される経済大国・日本の姿と重なるのである。
|