2008年11月18日 09:00 [Edit]
本当は怖い元祖「もんたメソッド」
私が最後にニュースステーションを観たのは3年ほど前。だから
古舘伊知郎氏が「格差社会」を語る気味悪さ - 池田信夫 blog推定年収1億円以上の彼が、非正規労働者の痛みを知ることは不可能だ。知らないことは罪ではない。競争の激しい芸能界でここまで生き残った彼の話術は(私はきらいだが)、それなりに価値があるのだろう。しかし自分を弱者の立場に置いて、格差社会を嘆いてみせるのは偽善である。
この例を観ても「ふーん」って思うだけだし、「まとも」な人は
情報の取捨選択を普通にする普通の人達|web2.0気味悪いとは、少し時代遅れの感性ではないのか?
30代にもなれば、この程度の「お芝居」は、すでに見抜いている。
その上で、選択して見るのだ。
という観方をしてるんじゃないの、とも思ったりもするのだけど、
古舘伊知郎氏が「格差社会」を語る気味悪さ - 池田信夫 blog欧米のニュースでも、後説はほとんどない。
というのが事実ではなく、そして「後説」、すなわち本来の「もんたメソッド」(プレゼンの手法でなくて)が有効で、それが合州国の「失われた八年」にもつながったかもよ、というお話。
で、やっていたのは、いわずと知れた Fox TV。これのおかげで、ABC、NBC、CBSの「三大ネット」は事実上「4大ネット」となった。
その Fox でやっているニュースが、もう後説だらけで、しかもそれがGOP(共和党)のプロパガンダチャンネルとしか言いようがない代物。詳しくは「アメリカ人の半分はニューヨークの場所を知らない」を読んでいただくとして、皮肉なのは、その Fox の台頭のきっかけが、 The Simpsons だったということ。
この The Simpsons は、「アニメが『ガキのひまつぶし』ではない」ということを示した画期的な番組で、「50歳の専業主婦で高卒」のような人々を笑い飛ばすネタで構成されているのだけど、それと同じチャンネルで「ニュースステーション」ならぬ 10 O'Clock News をやっていたというのは、もしかすると Murdoch の深慮遠謀だったのかも知れない。
今回は Fox News の健闘むなしく(笑) Obama と Democrats (「民主党」って書きにくくなったよねえ、対立する党が「共和党」なのか「自民党」なのかわからないし)が勝利したのだけど、みんなが「お芝居」を見抜けるわけもなく、そして実はお芝居を見抜けない人たちこそマジョリティだというのは心得ていた方がいいのではないか。
Obamaが勝ったのだって、「彼のいい分の方が理にかなっている」よりも「彼の方がいい役者だったから」という側面がかなり大きいのだし。
もし古館やみのを下ろしたかったら、「偽善者」って言っても無駄。むしろ判官贔屓なおばちゃんの義憤を駆り立てるだけ。言うなら、「つまらん」というべき。「もっと面白い役者に読ませろ」の方がいい。
実際つまらないのだし。私だって体調が悪いときにはTVを見るけど、Discovery, History, National Geographic でもう時間切れ。TVにだって面白くて栄養価が高い番組はいっぱいありまっせ。全国ネットの地上波でやってないだけで。
Dan the Media Watcher
P.S. まてよ、Murdoch は単に「どっちが The Simpsons 向けのネタを多く提供してくれそうか」という観点でどっちを endorse するか決めていた可能性も否定できないなあ。たしかに George W. はコメディアンにとっては最高の最高司令官だったしねえ。それはそれですごい。
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格差社会の特集ニュースとか観ても、
「本当に大変さわかって作ってる?企業から高い広告費取って高い人件費を
貰っているからどちらかと言うとその格差を作っている一端を担っているんじゃない?」と思ってしまいます。
一般市民の生活感覚とのズレを強調するようなこと言われても、
苛立ちが増すばかり。
格差社会って、上々の者が「北斗の拳」みたいな世界からいかに
離れて楽園に近づくか、というねらいで広げていくんだよねえ。
弾氏の以前のコラムで「最後通牒ゲーム」について触れたのがあったが、
結論は「何もないよりマシ。受け取るモン受け取って、胴元に近い側の
人間になれ。」というものだったと思う。
あれを受け入れるのは、相当に強靭な精神力が必要ではないかな。