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ひき逃げ:16歳、6キロ引きずられ死亡 容疑者逮捕「飲酒運転、逃げた」--大阪

 ◇本紙販売所アルバイト、朝刊配達中--大阪・富田林

 16日午前3時10分ごろ、大阪府富田林(とんだばやし)市錦織東3の国道170号(東高野街道)でミニバイクが倒れているのを通行人が見つけ110番した。府警富田林署が運転手の行方を捜していると同8時半ごろ、南に約6キロ離れた同府河内長野市小塩町の駐車場で運転手の毎日新聞富田林東販売所アルバイト、東川達也さん(16)=富田林市西板持町6=が死亡しているのが発見された。同署は近くに住む、駐車場にあった軽ワゴン車所有者の大工、市川保容疑者(41)を道交法違反(ひき逃げ)と自動車運転過失致死容疑で緊急逮捕。東川さんをはねた後、車で引きずって逃走した可能性が高いとみて、殺人容疑も視野に追及する。

 調べに対し市川容疑者は「運転中、ミニバイクに追突した。飲酒運転だったので必死で逃げ帰った。(どう逃げたのかは)よく覚えていない」と供述しているという。市川容疑者の軽ワゴン車の車体前部はへこんでおり、東川さんは駐車場で車から約10メートル離れた場所にあおむけで倒れていたという。市川容疑者の呼気からはアルコール分が検出された。

 事件現場から南に約20メートルと約60メートルの路上に長靴が落ちており、数キロ先には破れた紺色の雨がっぱのズボンがあった。いずれも新聞配達中だった東川さんのものとみられる。現場から約100メートルにわたって何かを引きずった跡もあり、一部に血痕のようなものもあった。

 東川さんは右側頭部や両肩に路面と擦ったような傷があり、着ていた雨がっぱの上着やズボンは背中や尻の部分が破れていた。

 調べでは、市川容疑者は片側1車線の路上を軽ワゴン車で北から南へ走行中、東川さんのミニバイクに後方から接触、救護せずに逃走した疑い。

 大阪府では10月21日、JR大阪駅前の交差点で男性会社員(30)がワゴン車にはねられ、約3キロ引きずられて死亡する事件が起きたばかり。【遠藤孝康、久木田照子、曽根田和久】

 ◇市川容疑者、酒気帯び運転で6月には検挙も

 市川保容疑者は、自宅近くの普段使っている駐車場に車を止め東川さんを駐車場の敷地内に放置したまま自宅に戻っていた。同居している父親(71)によると、帰宅した市川容疑者は2階に上がり、休んでいる様子だったという。しばらくして捜査員が自宅を訪れ、父親が市川容疑者に「警察が来ている」と告げると、市川容疑者は事件のことは何も言わず捜査員に連行されて行った。

 関係者によると、市川容疑者はもともと内装業を営んでいたが仕事に行き詰まり、大工見習として2年ほど前から大阪狭山市の工務店に勤めていた。事件前日の15日は午後6時ごろまで同僚と堺市の住宅建設現場で仕事をしていたが、特に変わった様子はなかったという。6月には酒気帯び運転で検挙され、30日の免許停止処分を受けた。父親は「酒を飲んで(車に)乗るなと注意していた。一刻も早く遺族に謝りたい」と話した。【平野光芳】

 ◇東川さん父「初給料翌日に…」

 被害者の東川達也さんの父で、同じ販売所で働く雅信さん(42)は16日夕、マスコミ各社に対し、次のような談話を発表した。

 「悔しいという以外にない。見た目は生意気なように見えるが、親が言うのもなんだが、まじめでやさしい子だった。『お父さんと同じ仕事をしたい』と新聞配達を選び、喜んでやっていた。今日は雨が降っているうえ、日曜日でチラシも多く、いつもより準備に時間がかかった。それがなければ、事故に遭うこともなかったのに……。容疑者に言いたいことは何もない。昨日が配達を始めて初めての給料日だった。もらってすぐに(家庭用ゲーム機の)プレステ3を買ってきた。『朝刊の配達が終わったら友達とやる約束をしている』と楽しそうに話していたのに……」【酒井雅浩】

毎日新聞 2008年11月17日 東京朝刊

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