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■わたなべゆきお後援会事務所■

高知県土佐市宇佐町宇佐737番地3
TEL/FAX 088-856-0229



わたなべゆきお後援会事務所

時評
 お父さん、お母さん 子供への「おしつけ」がこの様な
 「学校側からは最初、電話で『転落による事故死です』という連絡がありました。でも、私達父母の間にはすぐ、本当はいじめによる自殺だった、という話が伝わってきたんです。」(同級生の母親)
 十月十二日午前八時二十六分ごろ、千葉県のJR柏駅で、白いブラウスに紺色のベストを着た女生徒がホームから落ち、常盤線上野行き快速電車に撥ねられた。即死だった。
 ホームに置かれていた通学かばんに入っていた生徒手帳から身元はすぐに判明した。原辰徳巨人軍監督や森進一・昌子夫妻など、多くの著名人の子弟が在籍する、慶応義塾中等部の二年生、田口彰子さん(十三=仮名)だった。
 「大勢の通勤、通学路でホームは混雑していましたが、背中を押された、というような事件性はなかった。目撃者が何人もいて、一人で歩いていきホームから飛び降りた、と証言していることから自殺の線が濃いと判断し、学校の校長や担任、両親に来てもらい、事情を聞いた。その後、学校の複数の生徒さんからも事情聴取しました。
 その結果、彰子さんがいじめによる深刻な悩みを抱えていなかったと思われることと、遺書や自殺をほのめかす日記の類も発見されなかったため、明確に自殺とは断定していません」(柏警察署関係者)
 彰子さんは、父親が大手金融機関に勤め、母親は慶応大学卒業生という恵まれた環境に育った。父親の転勤のため各地を転々としたが、最後は柏市の小学校を卒業し、慶応中等部に進んだ。
 「慶応中等部は偏差値七十以上でも入学が難しい最難関校。大学付属中学ブームの中でも、一番あこがれの学校です」(中学受験関係者)
 しかも彰子さんは、中等部以外にも、国立大付属中学や偏差値の高い私立中学にも合格しており、クラスの中でも、極めて優秀な生徒だった。
 「体育だけはちょっと苦手でしたが、それ以外はすべてトップクラス。四年生の時に転校してきましたが、すごく明るい子でした。積極的な面もあって、好きになった男の子の留守中に、一人で部屋に上がりこんで帰りを待っていたなんて話もありました」(小学校時代の同級生Aさん)
 しかし時には、その優秀さ、積極さが過ぎ、過剰な態度に出る時もあり、クラスでは浮いた存在だったようだ。
 「私が重い荷物を持って少しずつ階段を上がっていった時に彰子さんは、下から追い越していったかと思うと、踊り場で振り向き、『フン』と言ったんです。なんか、自分は何でもサッサと片付けられることを自慢しているみたいで腹が立ちました」(同Bさん)
 男の子達の後をついていって『ストーカー』呼ばわりされたこともあったり、勢いあまって男子に蹴りを入れられたこともありました。
 でも、彼女のほうは、構われていると勘違いしていたらしく、逆に喜んでいた。全然めげない子でしたから、本人はいじめられているとは思っていなかったのではないかなぁ」(同Cさん)
 そうはいっても、彰子さんも周囲の複雑な目に気づかないわけではなかった。
「彰子さんから、缶ジュースをおごってあげるから話をしよう、と誘われたこともありましたね」(Cさん)
 しかし出身小学校からは、彰子さんただ一人が中等部に進んだだけに、それまでの複雑な環境はなくなったかと思えた。ところが、
「彰子さんというお嬢さんがいじめられていたのは、有名な話ですよ」と語るのは、中等部の同級生の父母Dさん。
「その話はクラスが違う子供の間でも知れ渡っていました。一年生のときから始まっていて、学級内だけでなく、クラブ活動のときもいじめがあったと聞いています」(同)
 別のクラスの父母Eさんも具体的な話を聞いていた。
「蹴ったり殴ったりではなく、言葉による陰湿的ないじめだったそうです。近くにいる彰子さんに向かって『あなた、まだいたの?』とか『また来たの』といった棘のある会話。後ろを歩いていたら、『近寄らないでよ』と言われたこともあったといいます」。
 別の母親は、子供からいじめの実態を聞かされて、こう問い詰めたと言う。
「うちの子に『なんで止めてあげないの』って諭したら、子供が言うには、『あれはとても止められる状況じゃあないんだよ』って。止めようとすれば、今度は逆に、止めに入った子もいじめられかねない雰囲気なのだそうです」。
 複数の父母が打ち明けたところでは、いじめる側は少なくとも七人以上。女子生徒が多いが、時には男子生徒にいじめられたこともあったという。
「初めは彰子さんは言い返していたようです。でも最近は、とても無口になっていて、言い返すこともなくなっていたようです」(同期)
 しかもそのいじめの実態について、学校側は把握していたというのだ。
「田口さんの担任は一年も二年も同じなんですが、その先生が一年の時に、『今年度はいろいろ問題があったことは承知しているが、解決できなかった。もう一度、田口さんを受け持ちたい』と、学校側に希望して受け入れられたと聞いています」(別のクラスの父母Fさん)やはり、彰子さんはいじめを苦にした自殺だったのではないか。
 校長にあたる平良木登規男・慶応義塾中等部長も、自殺だったことを認めた。
「当初、転落死と発表したのは、まだ当日で、情報が乏しくストレートに言いたくなかったからです。私も自殺の原因がなにか、苦慮しました」。
 確かに彰子さんは孤立しがちだった。器用な子ではなかったので、生徒同士のトラブルがいじめと受け取られて、自殺に結びついたのではないかと悩んでいた者もおりました」。
 そこで学校は、仲の良かった生徒、最近の動向を知っている生徒、トラブルのあった生徒に自己申告させ、担任を通じて全員に事情を聞いた。
 その結果、中等部が下した結論は、「いじめはなかった」だった。
「彰子さん自身、孤立しがちなのは自分にも責任があると自覚していたんです。これは、彼女が書いた作文などから明らかだったし、第一、いじめられているという意識が彼女にはなかた。一年生の時に比べて徐々に人間関係が良い方向に進んでいる、と彼女は考えていました。実際、彼女に味方する生徒も三人ほどいたのです。生徒同士がぶつかることがいじめだったら、すべていじめになってしまいます。彰子さん自身が、それをどう受け止めているか。そこが大事でしょう。今回のことは、いじめによる自殺を心配した生徒達の取り越し苦労でした」とまで、平良木部長は語るのだ。しかし、彰子さんのように気の強い子が安易にいじめを告白するとは思えないし、約五十人のクラスで、味方は三人しかいなかったと部長も認めている。
 いじめでないなら、いったい何が原因なのか。
「彰子さんは、まったく個人的な悩み事を抱えていました。その中身はプライバシーに関わることなので申し上げられません。
 ただ、当校は給食がなく、全員弁当持参ですが、昼食時に彼女だけは弁当を食べずに教室を出て行ってしまう。彼女は、お母さんに弁当を作ってほしくない、と思っていたようです」(同期)
 そうなるとやはり、遺族に話を聞かなければ原因はわからない。父親にいじめの有無について尋ねたところ、「いじめ?そういうことは子供の世界のことでしょう。いじめで自殺したというのは間違っている」。
 そして、「今回のことは完全に家庭内のことです」と断言する。
 確かに十月六日に開催された運動会では、こんな風景が見られたという。
「彰子さんは、周囲に誰もいなく、一人でぽつんといました。お母さんの姿は最後まで見かけず、お昼になってお父さんがお見えになりましたが、二人に近寄る人はいませんでした」(Fさん)
 小学校の同級生Gさんも、こんなことを語っていた。
「彼女がしょんぼりしていたので理由を聞いたら、『試験の成績が悪くてお母さんに叱られた』と言っていました。
 夏の間、一週間も同じ服を着てきたこともありました。そこで彰子ちゃんに体を触られると『田口菌』といってみんな嫌がっていました」。
 こうした話を統合すると、彰子さんと両親の間に、何らかのトラブルがあったことは想像に難くない。
 しかし、自殺には複雑な要因が絡まっているものだ。学校側がいうような悩み事もあったかも知れないが、だからと言って自分たちの責任を棚上げにはできないだろう。
 やはり小学校の同級生が象徴的なエピソードを語る。
「中学に入ってからも彰子ちゃんは、放課後になると、私達が通う公立中学にしょっちゅう遊びにきていました。校内で木登りをしているところを見つかって『どこの子なんだ』と職員室で問題になったこともありました。
 その後も、ときどきやってきては、正門の前に立っていました。どうしたのって聞くと『先輩の女の子に会いに来た』って言ってましたが。今年に入ってからは回数が減りましたが、三ヶ月に一、二回は姿を見せていました」
 家庭内では両親との間でトラブルを抱え、学校ではいじめられ、どちらにも居場所のなかった彰子さん。彼女にとって、唯一安らげる場所が、かつての同級生が通う地元の中学だったのではないか。