「チェンジ(変革)」をキャッチフレーズに掲げ、米国の次期大統領に選ばれたバラク・オバマ上院議員。勝利宣言のテレビ中継に、私はある取材現場の光景を重ね合わせていた。
それは九月二十八日に投票が行われた高梁市長選で、市課長から“転身”を果たした近藤隆則氏の事務所での「バンザイ」。オバマ氏と同様、近藤氏の選挙公約も「変革」だった。新市政スタート後も、高梁を変えよう―と訴え、職員や市民に意識改革を呼び掛けている。
世界最大の国家と、一地方都市を同列に扱うのは、無理があるかもしれない。しかし近ごろの内外の選挙結果を見渡すと、「変革」が有権者に最も浸透しやすい政治的キーワードになっているのは間違いないようだ。
旧高梁市では助役から市長への“昇格”が続いていた。しかし二〇〇四年の新市発足後、市長選は二回連続で“政権交代”。保守的といわれてきた住民意識が、市町合併によって一変したのかと思いたくなるような結果だ。裏を返せば、先行き不透明な時代に即応できるスピードを、市民が厳しく行政に求めるようになった証左といえるのではないか。
改選後初の臨時市議会から半月が過ぎたが、市長の所信表明は十二月定例会で行われる―とのこと。「変革」をアピールするには少々スピード感に欠けた印象もある。今後本格化する新年度予算の編成作業では、情報公開の徹底などにより、「市政が変わった」と実感できる仕掛けづくりをしてもらいたい。
(高梁支局・神辺英明)